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2025年夏号(EnterpriseZine Press 2025 Summer)特集「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」

AI活用の真髄──効果的なプロセスデザインとビジネス変革

なぜAI活用は「続かない」のか? “あと一歩”の企業こそ、パワーユーザーを置くべき理由

“逆戻り”を防ぎ、成果を出し続けるための組織的「仕掛け」とは

「セキュリティリスク」を言い訳にしないために

 連載開始から半年足らずの間にも、日本企業でのAI導入が着実に進んでいることを実感しています。しかし他国と比べると、AIで効果を得ている日本企業はまだ少ないのが現状です。

 PwC Japanグループの「生成AIに関する実態調査2025春 5カ国比較」[1]によれば、生成AIを活用している日本企業の割合は英国や米国と遜色ないものの、期待以上の効果を感じている企業の割合は低いことが明らかになっています。

 その背景の一つとして、AIの導入自体がゴールになっているケースが多いことが推測されます。その先の適切な目標を設定できていないため、効果を感じられないのです。

 では、どうすれば良いのか。それは連載で書いてきた通りです。まずはAIを活用して実現したい目標を、ビジネス目標にひもづける。ただ業務を効率化するのではなく、それによって事業にどのような効果を与えたいのかを言語化することが不可欠です。次に重要なのは、一つひとつのタスクにかける時間を短縮するのではなく、業務プロセス自体を「ゼロ」に近づける視点を持つこと。そして計画を実行に移す段階では、時に外部の専門家の力を活用しつつ、チェンジマネジメントによって社内変革を促していきます。

 ただ、これらはすべて方法論に過ぎません。結局、AI活用で成果を出すための土台は、「活用するのだ」という企業の意思です。AIは既にほぼ民主化しており、誰でも使える状況にあるにもかかわらず、活用が定着しないのは「企業がスタンスを決めきれていない」からだと考えています。

 たとえば、「セキュリティリスクを考えると、AI活用を制限せざるを得ない」という企業をよく見かけます。しかし、セキュリティリスクを完全になくすことは不可能であり、それではいつまで経っても活用できません。

 大切なことは、リスクを避けるために着手しないのではなく、着手するためにリスクを評価すること。何をリスクと捉え、どのように対策を講じ、万一問題が起きた際にどう対処するべきかをガイドラインに定め、AI活用に対する企業の姿勢を表明する。それがあって初めて、社員一人ひとりが安心して活用できるようになるのです。

 そして、その先にあるのは「AIによって仕事が奪われる」のではなく、「AIによって真に大切な仕事に打ち込める」世界。コミュニケーションはその代表例でしょう。私自身、子どもを抱える社員の集まりに参加したとき、AIでは決して代替できない体験だと感じました。人との関係構築は、決して効率化できないもの。そこにこそ、はたらく人の“可能性”を拓くチャンスがあると、私は確信しています。

[1] 『生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較』(2025年6月23日、PwC Japanグループ)

「AI活用の真髄──効果的なプロセスデザインとビジネス変革」(連載)

第1回

第2回

第3回

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小坂 駿人(コサカ ハヤト)

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社
ビジネストランスフォーメーション事業本部
データコンサルティンググループ 兼 ゼロ化コンサルティンググループ マネジャー2021年、パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社に入社。前職ではHR業界における事業戦略/新規事業開発部門に所属。2022年には、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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