日本IBM出身の入澤由典氏がキンドリルジャパンを舵取る──過去最高益から“さらなる成長”に向けて意欲
自席の前には長蛇の列ができるフランクなスタイル、ボトムアップで組織風土を変える
組織文化の変革:「失敗を恐れない」マインドセットへ
新社長として入澤氏が最も重視しているのが、社員のマインドセットの改革だ。同社には「The Kyndryl Way」という行動指針があるが、これを形骸化させず、日々の業務に浸透させることが不可欠だと考えている。
入澤氏は副社長時代から、東京だけでなく全国の拠点を回り、社員と直接対話を重ねてきた。社長就任後も、自席の前に相談者が列を作るというフランクなスタイルを貫くという。
「社員には『新しいことにチャレンジしよう』と口を酸っぱくして言っています。当然、決められたことを完遂するのは大前提ですが、そこにプラスアルファの提案がなければ新しい価値は生まれません」(入澤氏)
特に印象的なのが、失敗に対する寛容さだ。「チャレンジして成功した人が一番だが、何もしない人よりは、チャレンジして失敗した人の方がいいのです。そう言い続け、実践した人を正当に評価することで、組織の風土をボトムアップで変えていきたい」と話す。
この心理的安全性が保たれた挑戦こそが、コンサルティング事業の二桁成長を支える原動力となっている。単なる戦略策定にとどまらず、運用を知り尽くしたエンジニアが上流工程から参画し、実装と安定稼働を前提とした現実的なプランを策定するスタイルが、結果を求める顧客からの支持につながっているのだ。

運用をスリム化するから、新しいことに挑戦できる
最後に、日々既存資産の維持と新しい変革の板挟みで苦しんでいるCIOやIT部長に対し、入澤氏は力強いメッセージを送った。
「安定運用と変革は決して二律背反ではありません。むしろ、最新のテクノロジーを使って運用をスリム化し、安定させるからこそ、新しいことに挑戦する時間と投資の余裕が生まれます」と述べる。
ITの「攻め」と「守り」を知り尽くした新社長の下、キンドリルジャパンは単なるインフラベンダーを超え、企業の事業継続と変革を支えるパートナーとして、その存在感を高めていく。入澤氏が描く未来図は、日本企業のデジタル変革を加速させるための、道標となるだろう。
「顧客の事業を止めない。その上で、社会に新しい価値を創造します。我々キンドリルの挑戦に、ぜひ期待していただきたい」(入澤氏)
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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