東京都世田谷区は、AIワークスペース「Genspark」のエンタープライズプランを国内自治体で初めて導入し、職員への提供を開始するという。
単一手順での生成AI活用に留まらず、職員が「手順」ではなく「目的・成果」を指示することで、AIがタスクを分解し、情報収集・整理・要約、論点整理、資料作成までを包括的に支援する運用を開始するとのことだ。これにより、限られた人員でも多様化する行政課題に対応し、業務の質と即時性の両立、区民サービス向上を目指すとしている。
世田谷区では、既に複数の生成AIを利用していたが、個別タスクの支援に留まっていたとのことだ。Gensparkが選定された最大の決め手は、目的を指示するだけでAIが自律的にタスクを分解し、情報収集から資料作成まで一気通貫で行う「AIエージェント機能を中核に備えたワークスペース」である点だったという。モデルの使い分けを意識することなく、最適なものが自動で選択・連携して実行されるため、職員の負担が軽減されるとしている。
Gensparkで最も解決したい課題
限られた人員で多様化・複雑化する行政課題に対応するため、業務の「質とスピードの両立」を図ることが最大の目的だという。具体的には、日々の業務で大きな割合を占める調査・情報収集、論点整理、各種資料や案内文の作成といった定型業務にかかる時間を削減したいとのことだ。
これにより創出された時間を、人にしかできない政策立案や、区民一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな住民対応などのコア業務へシフトさせることを目指しているという。
Genspark導入により解決が予想されること
今回の試行導入では、DX推進担当課10名、その他各課60名の計70名で検証を行うとのこと。世田谷区が直近で実施した対話型AI(単一モデル)を利用した実測データ(1人あたり週約36分の削減)をベースに試算すると、この70名の利用だけでも年間約2,000〜2,600時間の業務時間削減が見込まれ、金額換算で約1,040万~1,380万円相当、導入コストに対して1.38〜1.82倍相当の効果が期待されるという。
また、今回の検証を経て、将来的に全庁約150課へ展開し、10名/1課、計1,500名の職員が日常的にAIを活用できる体制を整備した場合、年間約2.1万~3.9万時間の業務時間が創出される試算になるとしている。金額換算では約1.1億〜2.1 億円規模にのぼり、想定される導入コストに対して7~13倍というROIが見込まれるとのことだ。
今後の段階導入のステップ案
令和8年4月より、DX推進担当課および庁内公募により選定された計70名規模で利用を開始するという。費用対効果が期待できる業務から段階的に適用するため、具体的な利用目的や成果物イメージを持つ職員が主な対象だとしている。併せて、行政経営における意思決定の高度化を図るとともに、業務改革の効果を客観的に把握し、適切な統制およびガバナンスを確保する必要があるという理由から、将来的な
EBPMに資する活用可能性も見据えつつ、課長級を中心とした管理職にも同ツールを利用することと述べている。
導入ステップとしては、4月から7月にかけて実業務での利用と効果測定(時間削減の実測や品質評価など)を実施。その後、8月に成果を取りまとめ、9月に評価を行った上で、令和9年度以降の全庁的な展開を判断する予定だという。
効果測定の方法・目標
定量・定性の両面から実施。数値で測る指標として、組織全体で「かけたコスト以上の効果を出すこと」を目標に掲げているという。まずは今回の70名での検証において、導入にかかった費用の1.38倍以上の効果、年間で約2,000時間以上の業務時間の削減を、直近の目標として目指すとのことだ。
定性面では、検証参加者が事前に提出する導入計画書に基づき、資料の品質向上や住民対応の迅速化といった個別KPIの達成度を評価するという。また、将来、組織全体で導入することを見据えて、週ごとの利用者数や実際の業務でどれくらい使われているかも重要な指標として測っていくとのこと。創出された時間を、区民サービスの向上や新たな政策立案、現場職員の負担軽減にどれだけ還元できたかを総合的に評価していくと述べている。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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