データマネジメントが「名前のない仕事」から試験新設されるまで──経済産業省、IPA、リクルート、KDDI、MUFGが語る
「JDMCカンファレンス2026」 パネルディスカッション
試験新設への道──生成AIが問い直した人材育成の前提と標準化の苦労

藤咲氏 まずは内田さんに伺いたいと思います。これまで現場で「名前のない仕事」として埋もれがちだったデータマネジメントが、なぜ今、国家レベルで定義されることになったのでしょうか。試験新設に至る背景と、そこに込められた狙いからお聞かせください。
内田氏 2023年にChatGPTをはじめとした生成AIが各社で使われ始めたころ、私は政府でデータ人材育成の取りまとめ役をやっていたんですが、「従来型のITスキルだとか人材育成だとか言っている場合なのか」という気持ちが芽生えてきまして。生成AIが普及していくにつれ人材育成のあり方がガラリと変わるだろうということで、多くの方々にヒアリングをしていきました。
そうすると、「データサイエンティストがいればデータ活用は大丈夫と思っていたら、実はそうではなかった」という話が出てきました。データサイエンティストが本来の分析業務ではなく、社内データの掘り起こしや整備といった手前の工程に相当な時間を取られていて、本来の意義が発揮できていないわけです。政府として文部科学省・経済産業省が協力してデータサイエンス学部をたくさん設置してきたのに、社会に出た人たちがそういう状況というのは大きな損失だと感じていました。そういう議論をしている中でJDMCの大西さんと出会って、2024年の前半にその認識が固まっていきました。
阿部氏 議論してみて苦労したのが、各社で定義がかなり異なるという点でした。たとえば「データスチュワード」という言葉を使っていても、役割が会社によって全然違っているなどです。最終的にデータアーキテクト・データエンジニア・データスチュワードという三つの職種を定義できたことで、「この区分をベースに自社ではどう定義するか」という指針が作れた。そこはよかったと思っています。
木村氏 私たちの組織内でも、本部ごとにカルチャーが違っていて、内製でやっているチームもあれば、アーキテクト設計だけ担ってあとは外部に委ねているチームもあって、やり方に相当な差があります。そういう議論の中で「ユーザー企業の担当者たちが自分たちでできるようになる」という目的が出てきて、皆が同意できた。その瞬間が一番印象に残っています。
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