Dataiku Japan(以下、Dataiku)は2026年10月14日、記者説明会を開催し、AIエージェントの乱立に対応する新たなガバナンス戦略および新製品「Dataiku Agent Management」を発表した。
説明会には米Dataikuのプレジデント兼最高収益責任者(CRO)を務めるマックスウェル・ロング(Maxwell Long)氏、日本法人取締役社長 カントリーマネージャーの佐藤豊氏、セールスエンジニアリング部部門長の松島七衣氏、アジア太平洋地域(APJ)シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのアンドリュー・ボイド(Andrew Boyd)氏が登壇。
(左から)Dataiku Inc. プレジデント 兼 CRO(最高収益責任者) マックスウェル・ロング(Maxwell Long)氏
Dataiku Japan株式会社 取締役社長 カントリーマネージャー 佐藤豊氏
同社 セールスエンジニアリング部 部門長 松島七衣氏
Dataiku Inc. APJシニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー アンドリュー・ボイド(Andrew Boyd)氏
近年、企業内で生成AIやAIエージェントの導入が急速に進む一方で、IT部門の管理が及ばない“野良AI”の増加やガバナンスの欠如、投資対効果(ROI)の不透明さが深刻な課題となっている。日本を含む世界8ヵ国のCIO685人を対象に実施したHarris Pollの調査結果をもとにまとめたDataikuのグローバルレポート「Global AI Confessions Report: CIO Edition 2026」によると、76%が「2027年末までにAIで測定可能な成果を出せなければ自身の役職が危うくなる」と考えていると回答。さらに、72%が稼働中のエージェントが期待通りの成果を出しているかを追跡できていない実態が示された。
ロング氏は「多くの企業でエージェントが稼働しているが、真のビジネス価値を生み出しているかを明確に説明できるCIOは少ない」と指摘したうえで、「重要なのはタスク単位ではなく業務プロセスとして再構築することであり、ビジネスを理解する人、マルチベンダー環境をつなぐオーケストレーション、管理を徹底するガバナンスの3つを統合することが成功の鍵となる」と語った。
続いて登壇した佐藤氏は、過去のEUC(エンドユーザーコンピューティング)やシャドーITの歴史を引き合いに出し、「道具が変わっても属人化と野良化は繰り返される。個別の最適化によって現場の知見が組織に蓄積されないことこそが野良AIの最大の弊害である」と指摘する。この課題に対し、同社は自然言語でAIプロジェクトを生成できる「Dataiku Cobuild」の機能拡張を提示した。VポイントマーケティングにおいてCobuildの導入後にプロジェクト数が2倍に増加した事例も紹介しながら、現場の知見を組織の資産へ変えるアプローチを説明した。
松島氏は10月15日より一般提供が開始されるスタンドアローン製品「Agent Management」のデモを実演。Dataiku基盤上に限定されず、Amazon Web Services(AWS)、Databricks、Google Cloud、Microsoft、Salesforce、Snowflakeなど異なる環境下で構築されたすべてのエージェントを自動スキャンして一元的に可視化し、稼働状況やコストに加えてダウンタイム回避などのビジネスインパクト、リスクのスコアリングとアラート通知を行う仕組みを実証した。さらに、顧客のコーディングツールから直接アクセス可能な「Dataiku Headless」などを提供することで、開発者から非技術者までを単一の統制層でつなぎ、現場の課題解決と組織のガバナンス管理を両立する課題解決策を示した。
会見の最後にはボイド氏が登壇し、日本市場の成長性と今後の展望について提示した。ボイド氏は「日本のデータおよびAI市場は2029年までに6.9兆円規模へ拡大する見込みである一方、2040年には1100万人の労働力不足が見込まれている。AI主導のイノベーションが労働力不足を埋め、日本の経済成長を支える鍵になる」と語り、市場の可能性と課題を分析した。日本企業におけるAI導入率が87%を超える一方で、期待通りの成果を得られている組織が9%にとどまっている現状を踏まえ、「日本市場は非常にユニークで重要な位置を占めており、2022年の市場参入以来、継続的に投資と人員を拡大してきた」と振り返る。企業内のすべてのAIアセットを追跡・統制するオーケストレーション層を提供することで、大規模かつ複雑なニーズを持つ日本企業がAIから確実なROIを創出できるよう支援していく姿勢を示した。Dataikuは今後も日本市場への投資を拡大し、現場主導の開発と全体統制を両立させることで、企業におけるAI運用の持続的な成功を後押ししていく構えだ。
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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