前回は、VMware vSphereとCitrix XenServerの基本的な構成の違いと、無償版で利用可能な機能の比較を行いました。無償版を使用して、小規模なサーバー環境手軽に構成する範囲では、Citrix XenServerの方が多くの機能を利用できましたが、規模が大きくなった場合はどうでしょうか。今回からは、本格的な仮想化環境を構築する場合に使用する、有償バージョンの機能を比較し、両ソフトの実力を探っていきます。
エディション構成
VMware vSphereとCitrix XenServerを比較するにあたり、それぞれのエディション構成を紹介します。両製品ともに価格の異なる複数のエディションが存在し、上位になるほど高度な管理機能が使用できます。
VMware vSphere
VMware vSphereは、3台以下のホストで構成される小規模環境向けのエディションとして、Essential、Essential Plusが用意されています。また、ホスト数制限のない中~大規模環境向けに、Standard、Advance、Enterprise、Enterprise Plusの各エディションがあります。Standardが基本的なサーバー統合、Advanceは可用性の強化、Enterpriseはさらにリソース管理の自動化という位置づけです。Enterprise Plusでは、さらに大規模環境向けに統合管理の強化が行われています。
なお、統合管理を行うためには、Essential、Essential Plusではセットで提供されるVMware vCenter Server Foundationが、ホストが3台を超える環境ではVMware vCenter Server Standardが必要となります。
Citrix XenServer
Citrix XenServerの有償バージョンは、Advanced Editionは可用性の強化、Enterpriseはイメージ管理や負荷分散、Platinumはディザスタリカバリや開発環境の運用強化が追加されています。これらのエディションを使用するには、XenDesktopやXenAppなど他のCitrix製品と同じく、ライセンスサーバーが必要になります。 ライセンスサーバーを初めて導入する際には「XenServerユーザーの為のライセンスサーバーの設定方法のページ」を参考にしてください。
この連載では、「リソース有効利用」「基本的な運用管理」「データ保護」「可用性」「リソース制御」「統合管理の強化」など、いくつかの切り口でVMware vSphere 4.1とXenServer 5.6を比較していきます。今回のテーマは、「リソース有効活用」。関連する機能は概ね下図のとおりです。

一覧表では、エディションによる差異がほとんど見られないのですが、いずれの製品も有償版はフリー版に比べて機能強化が行われているため、インターフェースや使い勝手には違いがあります。
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島崎 聡史(シマザキ サトシ)
IT研修ベンダーにて講師としてコース企画、教材執筆、講習会実施などに携わった後、シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社に入社。デスクトップ仮想化製品のプリセールスに従事する傍ら、日本CloudStackユーザー会でのコミュニティ活動を通じてCloudStackの普及啓蒙に携わる。Twitter: @smzksts
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