インフォマティカ・ジャパンは12月9日、都内で記者発表会を開催し、金融、通信、製薬・製造の3つの業界を対象にMDM・ILM・クラウドデータ統合の3分野の製品を訴求していくことを明らかにした。従来のパートナー体制は維持しつつ、業界に特化した新たなパートナーの募集を行うほか、同社自身による直販を行うことで販売体制を強化する。
今回の事業戦略発表は11月1日の吉田浩生氏の代表取締役社長就任をうけたもの。新戦略では、市場のニーズを踏まえて注力分野を定めた製品戦略の策定(Solution)、ターゲット業種の絞り込み(Sector)、直販やパートナー制度などによる販売体制の拡充(Sales)の3つを柱として、日本国内での販売拡大を図る。
新戦略で特に注力するのは、Cloud Data Integration(クラウド関連のデータ連携)、MDM(マスターデータマネジメント)、ILM(インフォメーション・ライフサイクル・マネジメント)の3分野。「クラウドは一時的なトレンドではなく新しい潮流だと見ている。ユーザーにとって価値のあるソリューションを提供したい」(吉田氏)と新分野への注力を示しつつ、「MDM、ILMといった分野は長年にわたり注目を集めているものの依然として十分に浸透していない。ここは大きなビジネスチャンスと捉えている」(同)と意気込む。
注力商品に合わせて販売ターゲットも絞り込む。同社が手がけた案件のデータや市場調査などを分析した結果、特にMDMやILMへの着手意向が高いことが判明した金融・保険、製薬・製造、通信分野でのシェア拡大に注力していく。「これまでは、製品の性質的に業種を選ばないこともあって満遍なくアプローチをしていたが、今後はより大きな付加価値を届けることができる大容量のデータを扱う業種に対して重点的に提案していく」(吉田氏)という。
また、各分野での構築ノウハウを持つSIer、同社の製品とのシナジー効果が期待できるパッケージベンダーなどとのパートナー体制も整える予定だ。新パートナーは5~6社程度を想定しており、すでに協業に関するオファーなども進めている。パートナー数の拡大にあわせて、販売方法やコンサルティング手法のレクチャーや営業同行など支援体制の強化も進める。
2010年第3四半期は、ライセンスの売上高で対前年同期比40%増、構築・サポートなどを含めた売上高も33%と堅調な伸びを見せ、グローバルでは30四半期連続での成長を達成している。「2008年度こそリーマンショックの影響を受けて成長率は鈍ったものの、以降も引き続き堅調な伸びを見せている。今後は『3つのS』を全社的なスローガンとして掲げて、さらに国内での売上拡大を図って行く」(吉田氏)とした。