アジャイルでのリーダーシップと問題解決!そして原点となるトヨタ生産方式へ~Agile 2011 Conference
Agile 2011特別レポート DAY3
8月8日から12日までの5日間にわたって米国ユタ州のソルトレイクシティで開催されている世界最大級のアジャイルイベント「Agile 2011 Conference」。現地レポーターの藤原大と川口恭伸が世界におけるアジャイルの今を探ります。本稿では、カンファレンス3日目のセッションの中から、日本人発表者のものを含む3つのセッションを紹介します。
現実を把握し舵を取るための組織改善ツール
一つ目のセッションは、『アジャイルレトロスペクティブズ』(オーム社)の著者でもあるEsther Derby氏による「Seeing and Steering Systems: Three Pragmatic Tools」。セッション概要にはこう書かれています。
マネージャは毎日組織を先導したり、改善したりすることに焦点を当てているが、そのためには目的に応じて異なったツールが必要になる。ツールそのものは新しいものではないが、マネジメントトレーニングの中で教わることもあまりないだろう。(中略) このセッションでは、実用的なツールを紹介する予定だ。
氏によれば、目に見える「イベント(Events)」の水面下には、繰り返し発生している「パターン(Patterns)」があり、そのパターンは目に見えない「構造(Structures)」によって生み出されているといいます。目に見えている課題を解決するためには、その背後に隠れている構造を明らかにする必要があるということです。そのためのツールとして紹介されたものの一つがシステムズシンキングです。

簡単なディスカッションをくりかえし、問題の根本へと参加者を導きます
この背後に隠れている構造を知るため、セッションでは各テーブルごとで会話を繰り返しながら問題解決の道を探るワークショップが行われました。狙いは、参加者が抱える問題を分析し、構造を知り、回答を導き出すこと。まず、テーブル毎に配られた紙の中心に「今、抱えている問題」を大きく書き出します。次に、それらの問題に「影響をあたえるもの」を次々と書き出していきます。この作業によって、目の前にある問題の背景や、要因を探求することができます。さらに、それらの要因を計測できる名詞で書き出し、関係性を考えます。マイナスになるのか?プラスになるのか?を矢印で書き出すことで、更に明確に問題が見えるようになります。


「チームのスキル不足」という問題に対して
「トレーニングの必要性」「品質低下問題」といったキーワードが書き出されました
Agile Conferenceには、様々な立場の人間が参加するため、セッションはステージごとに分かれています。「Leadership」のステージに配置されたこのセッションの参加者は大半がマネージャー。セッション後も、同じような悩みを抱える参加者たちが白熱した議論をする光景が見られました。
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藤原 大(フジハラ ダイ)
楽天株式会社 アーキテクチャ&コアテクノロジー課Javaエンジニア。社内における標準化活動として、ライブラリ開発やミドルウェア整備、各種ツール導入などを担当。2010年からアジャイル開発系勉強会に参加するようになり、フロリダで開催されたAgile Conference 2010へも参加。2011年はアジャイル開発を推進する上でのコーチング、チームビルディングに日々奮闘中。趣味は沖縄...
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