iPadなどのタブレット端末を導入する目的は、営業活動としてプレゼンテーションに使っている企業が多いのだが、用途は他にもある。その一つに、社内コミュニケーションがある。社内コミュニケーションは、過去にも社内ブログ、社内SNSといったものを導入してきた企業はたくさんあるが、そのほとんどが既に止めてしまっているのが事実だ。社内ブログ、社内SNSを導入することだけが目的になってしまい、そこに情報を書き込むことを啓蒙する活動がなかったからだ。
過去のシステムとの違い
社内ブログや社内SNSといったシステムが出てくるまでの社内システムというと、販売管理システムや生産管理システムなどの、何かを管理するシステムが主流であった。コンピュータシステムは演算するものであり、何かを管理することに長けているからだ。それは事実なのだが、社内ブログ、社内SNSというものは、それまでの管理システムという名のコンピュータシステムは異質なモノであることを、誰も説明しないまま販売していた。そのため、導入した企業の多くがそれらを理解せず、誰も使わないままになってしまい、結果的に廃れてしまったのだ。
こういったことがあり、多くの企業では、情報共有という言葉がトラウマになってしまっているのだが、スマートフォン、スマートデバイスの登場により、いま改めて社内コミュニケーションについて考える企業も出てきている。外からでも、情報共有の啓蒙活動ができるようになったからだ。
情報共有の啓蒙活動

いろいろな企業で「情報共有」という言葉が使われるが、その意味は「情報提供」ではなく「情報取得」を意図している場合が多い。
管理職が社内の情報を把握するために、情報共有ツールを使って情報を取得したい、ということが多いのだが、それはそれで社内の状況、プロジェクトの状況を把握するためには必要だと言える。しかし、そういったツールを導入すれば情報が集まってくる、というシンプルなものではない。それは情報を提供する社員にとって、「情報共有」ではなく一方的な「情報提供」に過ぎず、何の反応も得られないからだ。
この典型例が、上司に報告メールを入れたが返信はない、というものだろう。上司は読んでいないわけではないが、返信することを怠っているため、報告メールを入れる部下にとってはフラストレーションに他ならないのだ。
そのため、上手に情報共有ツールを活用している企業では、ナレッジマネジメントをするための要員を配置し、社内のキーパーソンに啓蒙活動をおこなっている。トップセールス、マーケティングのメンバーなどに働きかけて、社員が必要としている情報を発信するように依頼しているのだ。つまり、システムだけに頼らず、情報を流通させるために人が必要ということになる。
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大木豊成(オオキトヨシゲ)
イシン株式会社 代表取締役シンガポール大学(現NUS)卒業
米国PMI認定Project Management Professional取得ソフトバンク株式会社で、Yahoo!BB事業立ち上げ、コンタクトセンター立ち上げ、おとくラインサービス立ち上げなど、事業・会社とサービスの立ち上げを担当。現在は「人と会社...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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