ミッションのない会社とWhyのない従業員
先日、ガートナーが世界1,000以上の企業/組織に調査した「企業のソーシャル技術導入、成功率はわずか10%」という記事は衝撃的でもあり、やっぱりそれくらいだったかというこれまでの実感の確認ができました。
それくらい社内SNSは難しく、企業はその期待と裏腹にどう運用していいのか分かっていません。またシステムを提供するベンダーも、失敗の原因を運用のせいにしているのは、ツールは何でも良いと言っているようなもので、ソリューションを提供できていないことを認めています。
ガートナーは、”Provide and Pray”方式(導入したあと運を天に任せるだけ)という、「社内SNSを通じてコミュニティが自発的に作られ、参加者同士のやり取りが何らかの事業価値をもたらすなど、良い結果が自然に生まれることを期待する」アプローチが災いしていると指摘します。
“Provide and Pray”方式で始めるなら、前回の記事で紹介したように企業は強い「ビジョン」を持ち、従業員はそれに共感して「誇り」を持って働いているかどうかが成功の鍵を握ります。
しかしほとんどの会社、特に従業員が多いサラリーマン経営者の企業にはミッションがなく、ビジョンを描ききれていません。また、従業員も条件やスキルアップなどが先行し、なぜその会社でその仕事に取り組むのかというWhyを持っていません。
ベンチャー企業やNPO、社会的企業、そして創業の想いを大切にしている100年以上続く老舗企業であれば、この方式でも成功するかもしれません。でもそういう企業は、人数が少なくコミュニケーションに課題を感じていなかったり、ネットリテラシーが高くなく社内SNSを活用するという発想自体があまりありません。
だからといって今Whyがなければいけないのかというと、そうではありません。Whyについて考え、探し続けることは重要ですが、日常業務において目の前のWhatやHowを本気で探求することでWhyが見えてくることがあると思います。
先日、アントレプレナーとイントラプレナーでWhyについて議論するワークショップに参加しました。その内容をまとめたブログ「突き抜けるために必要なWhyを育むために、今何をすべきか?」でも紹介されているのですが、イントラプレナーにとっては仕事が用意されていることが多く、Whyが最初からなくても、WhatやHowを実践していく中でWhyを探求することは自然な流れではないかという声が印象的でした。
企業も従業員もWhyを探すことから始めるのではなく、What(目的)を明確にしてHow(最適なツール)を選び、その中でしっかりと成果を出しながら、Whyを探求すれば良いのです。