ビッグデータは、その量の問題からIT部門にとっては悩みの種だ。一方、ビジネス部門は、そのデータ活かしたいと攻めの考えを持っている。また法務や人事などでは、情報をどのように流出させないようにすればいいのか、あるいは不正なものが入ってこないようにするにはどうしたらいいかを考えている。つまり企業では、ビッグデータに対処するためにこれらのことを同時に考えなければならないというわけだ。そのような状況の中で、日本においてとりわけ進んでいないのが構造化データ、非構造化データを含む情報のコンプライアンス管理やガバナンスの部分だ。
ビッグデータ時代には構造化、非構造化データを含む情報のガバナンス管理が必須になる

「企業はもっとこの領域に眼を向けるべきです。欧米では早くからこれらに眼を向けており、その流れは必ず日本にもやってきます」と語るのは、日本ヒューレット・パッカード オートノミー・インフォメーションマネジメント統括本部 統括本部長 東アジア担当 春木菊則氏だ。
構造化されたデータの管理付いては、長い間にさまざまな工夫がされてきた。データベースやERPなどで扱うデータに関しては、圧縮してサイズを小さくし、きめ細かなアクセスコントロールを行いログの管理も行っているだろう。とはいえ、現在、企業が管理しているデータの大きな部分が非構造化データであり、それらを保存するためにストレージは肥大化し、コンプライアンスやガバナンスといったことへの対処もまだまだこれからなのだ。
ビッグデータ時代になり、とにかく情報が増え続けている。さらにそれらに対して、どこからでもアクセスできるようにしたい。そして、それらを今すぐ見たいし、今すぐ誰かに送りたいかもしれない。そうなれば、当然ながら情報が拡散する可能性がありリスクも高まる。基本的にIT部門が厳正な統制下に置くのは、ERPなどのアプリケーションの中のものだ。ファイルサーバーにある非構造化データやMicrosoft SharePointにあるようなデータは、ユーザーにその管理を委ねている場合も多いだろう。「そのような、コンプライアンスのない状態では、企業リスクが発生する可能性も大きくなります」と春木氏は指摘する。
企業のさまざまな情報を統治するには、情報へのアクセスをコントロール厳密に行い、時期がくれば必要のない情報は適切に廃棄する。さらに、法規制などのルールにも対処できるようにしなければならない。同時に、それらを実現しながらITコストも上げない。いや、コストを上げないどころか、情報の利用価値を向上させる必要もあるのだ。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア