インフォテリアは11月12日、自社イベント「ASTERIA Forum 2013」を開催した。ユーザー事例講演では、アルクの取締役で情報システム本部長/CIOの鎌田伸尚氏と、フォーバルテレコム企画本部情報システムチームの内海義朗氏が登壇し、それぞれの取り組みを紹介した。また、講演後には、アイ・ティ・アール シニアアナリストの甲元宏明氏をモデレータとしてパネルディスカッションが行われた。
・『ASTERIA Forum 2013』講演資料ダウンロードこちらから
アルク 〜 既存システムを連携させ、顧客統合データベースを構築
取締役 情報システム本部長/CIO
鎌田伸尚氏

個人向け、企業向けの語学教材や研修、語学情報ポータルサイトなどのWebサイトを展開する出版社のアルクは、「顧客の一元化プロジェクト」を全社的に推進している。複数に分散した顧客データベースの整理統合や、顧客向けに提供しているオンラインショップやWebサイトのシングルサインオンによる統合化など計4つのプロジェクトが進行中だ。
「プロジェクトの目的は、出版や教育を手がけるサービス事業者へと成長していくこと。そのシステム刷新を支えるキーパーツとしてASTERIAを採用した」(鎌田氏)
課題になっていたのは、複数のシステムごとに顧客情報を管理していたため、情報を一元的に把握することができなかったことだ。そのため、顧客情報を活用したマーケティング施策を十分に実施できなかった。たとえば、「あるキャンペーンでメールによるe-DMを発行すると、同じ人に同じDMが複数届くといった笑えない話もあった」(同氏)という。
システム的にも、顧客情報を分析する際には、抽出作業時にSQLを作成しデータを取得するなど作業負荷が高く、システムごとにデータベースを管理することから保守工数も増えていた。また、サービスサイトについても、顧客は各々のサイトでログインする必要があるなど、サービスの使い勝手が悪かった。
「当初、データ連携ツールによる顧客統合データベースの構築には否定的だった。さまざまなデータソースからデータをDWHに収集することはできても、データを活用するためにDWHから取り出すツールはなかなかない。データ連携のための工数が増加することは避けたかった」
そんな中、ASTERIAが「データとインとアウトの両方に対応しており、ノンプログラミングで工数の削減に効果がある」ことを知ったという。また、当時のシステムは、Oracle、SQL Server、MySQL、CSVファイルなどのデータを扱っていたがそれらすべてに対応できることや、仕様書出力機能などにより仕様書の標準化もできることなども選定のポイントになった。自社にノウハウが不足していたこともあり導入にあたっては、実際に導入実績のあるベンダーを紹介してもらったという。
「データ連携ツールの導入は初めてだったが、3月にプロジェクトを立ち上げ、顧客統合データベースの初期構築を3ヵ月半で終わらせることができた。インストールは1日。ひな形となるフローを作成し、それを他のフローに流用することで全体の開発期間も短縮できた。開発やテストも容易に行えるほか、仕様変更にも柔軟に対応できる。"すぐできる"ことのメリットは大きい」(同氏)
なお、顧客統合データベースは、Oracle RACとオープンソースベースのCRMソフトSugarCRMで構築するなど、ユニークなシステム構成になっている。今後は、この顧客統合データベースを、ASTERIAを利用して、基幹システム、オンラインショップ、Webサイトなどと連携させていく予定だ。

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- この記事の著者
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齋藤公二(サイトウコウジ)
インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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