フォーバルテレコム 〜 手作業で行っていた運用業務を自動化
回線リセラーを主事業に設立され、現在は、IP&モバイルソリューション、ペーパーレスソリューション、セキュリティコンサルティングなどを展開するフォーバルテレコム。同社は、ASTERIAを自社業務を自動化するためのツールとして利用している。
導入の背景にあったのは、さまざま通信キャリア、ISP事業者、代理店などとのやりとりで発生するデータの管理だ。同社の取引先では、月に約1回というペースで新サービスや商品が開発され、その取引先とのデータのやりとり、請求処理に対応する必要がある。サービスの販売会社は500社を数え、請求処理は毎月5万件に達する規模だ。
「情報システム部門は運用4名、開発2名、インフラ1名という構成。システム開発にはとにかくスピードが求められたため、保守性がないがしろにされがちだった。設計書がない場合もあり、あっても書式が統一されていないことが多かった。次第に運用が属人化し、異動や退職によってブラックボックス化してしまっていた」(内海氏)
特にデータの管理に使われていたAccessの保守が課題だったという。データベースが100以上乱立し、誰もわからないようなファイル名のデータベースが運用されていた。3年ほど前に、こうした新サービスへの対応や属人化の減少、業務改善を期待して、ASTEIRAを導入した。とはいえ、当初は期待した以上の効果が上げられず、失敗してしまったという。
「達成できたのは、運用担当を8名から4名に削減できたことだけ。期待していたような業務改善効果はほとんど得られなかった。そこで失敗の原因を探った」(同氏)
失敗の原因は、導入計画どまりで実行体制ができていなかったこと、担当者全員が運用を持ちながらの兼務だっため後回しにされがちだったこと、現業務をまわすことで精一杯だったことなどだ。
こうした反省から、まず、導入を推進するための体制づくりを実施した。兼任での担当から開発専任体制に移行(2名)し、ベースとなるサンプルブログラムなどのひな形を整備した。その後、そのベースをもとに運用の自動化を推進し、横展開を図っていった。運用の自動化の例としては、これまで手作業で行っていた作業のスケジュール実行がある。
「赤裸々にお話すると、従来の運用は、100個以上のツールを使って月に約50個の手作業を実行するような環境だった。実行するスケジュールは日付が固定されていて、たとえば毎月5日はこの作業を行うと決まっていた。その日が休日の場合は休日出勤になり、担当者が風邪を引いていたら、ほかの者では手順がわからず実行できないなどといった状態だった」(同氏)
現在は、こうした運用を自動化し、誰でも実行できるようなかたちにした。そして、この取り組みでノウハウを生かして、新規サービスを自動運用できる仕組みも構築した。これは、従来は販売会社などからの受注に関するデータをフォーバルテレコム側で入力していたものを、販売会社の受注時に入力してもらい基幹システムで自動処理するもの。基本部分の開発は、内海氏ら2名で済ますなど、工数の削減やサービスリリースの迅速化につながっているという。
「新規オプションサービスなどをASTERIAで開発するなど、適用領域をどんどん増やしている段階だ。今後は、親会社とのデータ連携などでもASTERIAを検討していきたい」(同氏)
IT部門と経営が強調しデータマネジメントの理解を
続く、パネルディスカッションでは、アイ・ティ・アールの甲元氏をモデレータとして、鎌田氏、内海氏、インフォテリア営業本部副本部長熊谷氏が、データ活用の勘所など話し合った。
ビジネスに貢献するためのデータ活用とは何かというテーマでは、鎌田氏は「読者カードやアンケートなど、紙でみるアナログなデータも多用している。それらをどう電子化していくかは今後のチャレンジ」と指摘。また、内海氏は、「営業の会社であるのでやはり売上に関するデータ活用が中心になる。顧客属性の分析なども検討していきたい」とした。
また、取り組みの障害になりやすい点としては、「すでにあるシステムを変更することに対してどう優先度をつけていくか。優先度が低いと組織的な取り組みが進みにくい」(内海氏)、「データをマーケティングに活用することは長期的には必要だとわかっていても、実際の投資には踏み切れないケースが多い。どう納得性を持ってもらうかが課題」(鎌田氏)といった意見がでた。
これに対し、甲元氏は、「IT部門が経営層とコミュニケーションをとり、データマネジメントの重要性を訴えていくことが大切」と話した。また、熊谷氏は「手軽に始められるツールとしてASTERIAを活用していただきたい。ただ、ツールを買ってどうなるというものでない。企業がデータに価値をおき、データをマネジメントしていこうという意識が大切だと思う」と訴えた。
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