2026年7月16日、コンカーは「SAP Concur Fusion Exchange」を開催。基調講演では、AI時代における経理財務部門の変革と、それを強力に支援する自律型プラットフォーム戦略について、先進的な実装事例やパートナー連携とともに具体的な展望が語られた。
コンカー 代表取締役社長の橋本祥生氏は、同社が提供するソリューションのビジネスアップデートを報告した。世界におけるSAP Concur(以下、Concur)の利用者は1億人を突破し、世界市場シェアは約半分を占めるに至っている。日本国内においても、12年連続で市場シェア1位を獲得。国内トップ100企業の68%、トップ300企業の57%(約170社)に採用されるなど、企業の規模を問わず広範な導入が進んでいる。
また、今回新たに三井住友カードとビザ・ワールドワイド・ジャパンとコンカーの三社連携による、法人カード決済の「リアルタイム連携機能」の国内リリースが発表された。三井住友カードの代表取締役社長である佐々木丈也氏は、これまで同社がコンカーとともにカード利用データの自動連携を通じて「経費精算のない世界」の実現に挑戦してきた歴史を振り返りつつ、今回の取り組みによってそのビジョンを大きく前進させると説明した。
具体的には、法人カードで決済した瞬間に決済データが即時にConcurへ届く機能を実装。従来のようにカード明細の連携時間を待つ必要がなく、決済直後に領収書とのマッチングと精算申請ができるという。佐々木氏は将来的なロードマップとして、Concurの事前申請データと連動したカードコントロール機能の実装を挙げ、利用上限額の制御だけでなく、たとえば事前申請された宿泊費用の決済のみにカード利用を制限するような高度な自動制御をシステム側で行う仕組みについて言及した。
これを受けて、ビザ・ワールドワイド・ジャパンの松田海氏は技術的な背景から、「決済データを即時に活用できるガバナンス環境を構築することは、単なるプロセスの効率化を超えて企業の意思決定のスピードそのものを変革する基盤になる」と補足する。Visaが持つ世界規模の決済ネットワークとConcurのプラットフォームを直接つなぐことで、グローバル基準のガバナンスと利便性を日本のユーザーへシームレスに提供できる点に深い意義があると語った。
そのほか、朝日新聞 コーポレート本部 経営企画ユニット 主査の祖父江開斗氏が登壇し、コンカーのAI不正検知サービス「Verify」を導入した事例も紹介された。朝日新聞社では、社内全体でAIの積極的な活用を進めており、社長自ら「AI全振り宣言」を打ち出すなど、AI前提での業務プロセスの再設計に取り組んできた。その一環として、経費精算業務の効率化とガバナンス強化が大きな課題となっていたという。
「従来のフローでは、経費レポートを事後に目視でチェックせざるを得ず、どうしてもチェックのための工数が膨らんでいました。また、事後確認であるため、不備が発覚した際の対応が遅れてしまうという課題もありました。業務の効率化を進めつつ、確実にガバナンスを強化するための解決策として、Verifyの導入を決定しました」(祖父江氏)
導入から数ヵ月が経過した現在、同社は既に導入効果を実感しているという。まず、重複領収書を承認前の段階で検知し、未然に防げるようになった。「これまでの事後チェック体制からの大きな転換であり、ガバナンス強化において非常に大きな一歩だ」と同氏は述べる。また、従来は経理担当者が一件一行ずつ目視で確認していた領収書の金額と申請金額の一致確認といった定型作業をAIに任せられるようになり、業務工数の削減において目に見える成果が現れているとのことだ。
また、イベントではSAPコンカーのソリューションを活用し、間接費改革や業務プロセスの改善を通じて、革新的なビジネスを実現した企業に贈られる「SAP Concur Customer Excellence Awards」の表彰式も行われた。今年はコマーシャル部門とエンタープライズ部門の2部門が設けられ、コマーシャル部門は石垣が選ばれた。石垣 企画推進部 情報システム課 課長の中村晋氏は、「電子帳簿保存法対応を契機にConcurを導入し、ノンカスタマイズを貫くことで経費処理時間を50%削減、投資費用を2年で回収できた。今後は経営判断へデータをどう活かすかがカギとなる」と語った。
エンタープライズ部門は、ファーストリテイリングが受賞した。同社 グローバル計画管理部 統括部長 杉崎克宏氏は「12年間にわたり継続的に仕組みを改善し、年間7,600時間の工数削減を達成した。今後もAI活用を含めたさらなる改革に挑み続ける」と、長期的な業務変革の価値をアピールした。
株式会社 ファーストリテイリング グローバル計画管理部 統括部長 杉崎克宏氏
加えて、今後のプロダクト展開に関わる将来的なAI実装のロードマップも示された。同社の生成AIアシスタント「Joule」のインターフェースとしての利便性向上や、AIエージェントが基幹業務プロセスを自動実行・最適化する統合型アプリケーション「SAP Autonomous Suite」の実装によって、出張や経費管理プロセスの各フェーズにおける高度な自律運転化が順次進められていくという。
たとえば、出張者がJouleに「出張に行きたい」と語りかけると、社内規定と個人の好みを自動的に解釈して最適な候補を推薦する。さらに、申請前の段階で二重領収書を検知する機能や、プロンプトベースでの監査ルールの自動生成など、日本独自の複雑な交通費精算の効率化に向けたAIエージェントの機能をリリース予定とのことだ。
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