チームでデータ分析
「NECは、機械学習の研究を長い間行っています。まだ世の中で機械学習が流行っていない頃からで、そのうち流行るだろうと続けてきました」
本橋さんは、NECのデータ分析チームと同時に研究所にも所属している。機械学習の研究者としての仕事の延長線上に、データサイエンティストとしてのデータ分析もあるのだ。
研究所チームの面々は、自分たちが突然データサイエンティストと呼ばれるようになり少し戸惑いもあるとか。実際本橋さんの周りには、データサイエンティストと言うよりは研究者が多い。「日常的に論文を書いているような人がたくさんいて、そんな彼らが面白くデータ分析をしている状況です」とのことだ。
本橋さんの大学の専攻は機械工学、世間で想像するデータサイエンティストの専門領域とは少し異なる。実際大学3年生から大学院の1年くらいの期間は、自動で変速を制御し走るレーシングカーを作りそれでレースをすることに没頭していた。レースにはチームで参加する。設計者がいてドライバーがいて、さらに各種専門技術を持つ多くの人が関わっていた。
本橋さんの立場は、そんなチームのマネジメントだった。大学のレースチームなので、予算は限られている。部品などは企業にスポンサーになってもらい、提供してもらわなければ成り立たない。そのための交渉をするのも本橋さんの仕事だった。
レースチームのマネジメントだとデータ分析とは縁遠い感じもする。しかし、当時もすでにデータ分析は行っていた。
「たとえばドライビングのデータを収集して、マシンやドライバーの運転を分析していました。こういうカーブが苦手だといったことが、データを見れば手に取るように分かるのです」(本橋さん)
当時からデータを見るのは好きだった。なので、それをグラフ化などし分かりやすくする。そうやってマシンの改善やドライバーのスキル向上などに役立ててもらった。「データ活用の走りのようなことをやっていました」と言う。