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(第4回)ベンチャーキャピタリスト 堤孝志氏、飯野将人氏に訊く 顧客発見ステップでのエスノグラフィー活用とアーリーアダプターへのアプローチ方法

  2012/11/02 10:00

 アーリーアダプターへの効率的なアプローチ:B to Bの場合 

 堤氏:B to Bの場合は違う難しさがあります。紹介の連鎖が使えないのです。法人のお客さんと深い話をできる関係になると守秘性の問題が出てきてしまいます。B to Bでアーリーアダプターを探すということは、他の企業に先んじようとする人を探すことになるので、紹介の連鎖にはなりにくいのです。

 『アントレプレナーの教科書』『スタートアップ・マニュアル』での言及というよりも私個人の経験則ですが、B to Bでのアーリーアダプターへのアプローチのポイントは、業界の最大手か2番手を狙うと到達しやすいと思います。

 最大手は常に業界の先頭を走っていたいという動機があります。最大手=一番儲かっているという状況なら新しい製品やサービスを買う予算もある。2番手3番手の他社が取り組んでいない一歩先ゆく製品やサービスを取り入れて、追随企業との差を拡げていきたい。そのような思考になりやすいので、リーダー企業がB to Bでのアーリーアダプターになる可能性が高いのです。

 逆に業界最大手だから保守的ということもあります。その場合は2番手企業に、1番手企業が取り組まない画期的な新製品・サービスのリスクをとって業界首位に躍り出るインセンティブが生まれます。それゆえ、2番手企業がアーリーアダプター企業である可能性も同様に高いといえます。

 飯野氏:私自身の経験としても、NDAの話が出て、「他社へ提案しないでね、この件は」という話が出るのは例外なく業界リーダーです。私自身がベンチャー企業を経営している立場で3つか4つの業界の人と話していますが、そのような反応を示すのはリーダー企業ばかりで、逆にフォロワー企業ほど「実績はあるの?」といった反応で、分り易すぎるぐらいにB to B取引の場合のアーリーアダプターが明確になります。

堤孝志氏 と 飯野将人氏

まとめ:まとめ:今回は、エスノグラフィを活用して「”切実な課題”があるかどうかというニーズ構造」を発見する方法、アーリーアダプターを効率良く見つけていくコツなどを解説いただきました。次回は、既存企業が新規事業開発で「顧客開発モデル」を活用する場合のポイントと注意点、「顧客開発モデル」のスタートアップ事業以外での活用方法などを解説いただきます。 

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堤孝志氏、飯野将人氏

 

堤孝志氏:総合商社、シリコンバレーのVCを経て、2003年から国内のVCに勤務。日米・アジアにて幅広くベンチャー投資活動を行う。傍ら個人的な活動として「顧客開発モデル」を中心とした講演、レクチャーを精力的に行っている。東京理科大学工学部卒。McGill大学経営大学院修了。訳書に『アントレプレナーの教科書』(翔泳社)、『クリーンテック革命』(ファーストプレス)がある。

 

飯野将人氏:大手金融機関、米系コングロマリットといった大企業勤務の後、日米複数のスタートアップの経営に参画。 その後2003年から2012年まで国内VCにてベンチャー投資に取り組む。 2012年4月より西海岸発のハイテクベンチャー、ナント・モバイル取締役副社長に就任。 傍ら個人的な活動として「顧客開発モデル」を中心とした講演、レクチャーを精力的に行っている。 東京大学法学部卒。米国ハーバード大学経営大学院修了。訳書に『クリーンテック革命』(ファーストプレス)がある。

註:本インタビューの内容は、インタビューに応じた個人の見解に基づいており、所属する組織の見解を示すものではありません。

 



著者プロフィール

  • Field Research and Design(フィールドリサーチ アンド デザイン)

    2011年結成。ほぼデザイナー以外から成るデザインユニット。人間工学、ユーザーエクスペリエンスから社会人類学、薬学、デジタルマーケティングなど専門の異なる多様なメンバーが参加している。ブログ「Open Field Notes」を拠点に、小ネタから論考、ビジネスからアカデミックまで、デザインをキーワードに、人とモノの関係を多面的に考察している。

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