シリコンバレーではエンジニアの確保や従業員の流出を防ぐために社員の満足度をはかる調査が重視されている。こうした社員のエンゲージメント調査は従来の人事調査のような、年1回程度大量の質問でおこなうのではなく、恒常的にオンラインでおこなう「パルス・サーベイ」などだ。一方、顧客の満足度や意見のフィードバックなどのアンケートの分野でもオンラインのテクノロジーを導入する動きも盛んだ。
従来、こうした各種のサーベイやアンケートは、部門や方法、データ管理の基盤の違いなどにより別々に管理されてきた。こうした各種の調査データを統合的に扱い、新たなインサイトを得るためのエクスペリエンス・マネジメントという分野で急成長してきたのがクアルトリクスだ。2002年にユタ州発のベンチャーとしてスタートし、現在では1600人の従業員を抱えている。
2月26日に同社のビル・マクマレー氏とカントリー・マネージャーの熊代悟氏が、日本オフィス開設にともない会見をおこなった。
クアルトリクスのエクスペリエンス管理のデータの定義は、2種類あるという。「何が起こったか」を理解するための業務データ「Oデータ」と、「なぜ起こったか」を理解するための「Xデータ」──この2種のデータを扱い、相関関係や因果関係を捉えることでインサイトを得ることができるという。
同社の調査の方法論や手法は、米国では、大学・研究機関で高く評価され、民間企業にも波及している。
製品としては、「カスタマーエクスペリエンス(CX)」「従業員エクスペリエンス(EX)」、「ブランドエクスペリエンス(BX)」、「プロダクトエクスペリエンス(PX)」を単一のプラットフォームで管理し、数多くのモジュール群を組み合わせインテリジェントな分析機能を提供するもの。
クアルトリクス ジャパンとしては2018年に11名体制、50社の導入、3カ年では300社の導入を計画している。またビル・マクマレー氏は、数年のうちに米国でのIPOも視野に入れており、今回日本への進出はその布石でもあることを示唆した。