OSの移行作業は大企業が先行し、中堅・中小企業へ波及する
法人市場だけを見ると、成長トレンドが継続しており、今後も好調を維持すると予測される。過去の数四半期は大企業が成長を牽引していたが、この現象はWindows XPサポート終了以前にも見られた。大企業が新しいOSへの移行に向けた作業を、時間的余裕を持って開始し、サポート終了を待たずに移行を実施するためだ。Windows 10への移行も現在は大企業を中心に進んでいるが、まもなく中堅・中小企業へも波及するとIDCではみている。
家庭市場については、昨年第1四半期~第3四半期が好調であったため、昨年第4四半期以降の需要を多少先食いしていた、また、好調な家電に支出シェアを奪われていることが考えられる。
台数シェアはNEC レノボグループと富士通が不動の1位と2位で、3位は僅差で日本HP
カンパニー別の出荷数上位5社は次のとおり。家庭市場ではアップルが2位を堅持している。
NEC レノボグループは、法人市場では前年同期15.7%増、家庭市場は同比13.0%減で、法人市場におけるNECおよびレノボ両ブランドの復調が目立った。全体では同比3.6%増となり、法人市場の好調が家庭市場の不調を補う形となった。
富士通は、法人市場で同比7.9%増、家庭市場では同比24.6%減となり、全体では同比0.4%増だった。富士通は、法人市場では特に大企業セグメントにおける伸びが顕著で、公共および家庭市場の落ち込みをカバーしている。
日本HPは、法人市場で同比4.6%増、家庭市場は同比2.5%増、全体で同比4.3%増。Top 5カンパニーの中では、両市場を合わせた全体市場で最も高い成長率を示した。
デルは、法人市場は同比4.2%増、家庭市場では同比3.0%減で、全体では同比2.0%増となった。本来強いはずのデスクトップPCで伸び悩みが続いている。
東芝は、法人市場で同比0.5%減、家庭市場では同比25.6%減となり、全体では同比11.1%減。低調が続く東芝だが、ノートブックPC市場で第3位を維持している。
IDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川和子氏は「NECレノボ グループと富士通の戦略的パートナーシップ契約が5月に正式に締結した。IDCでは、このパートナーシップは部材調達における協力関係に留まり、富士通PCの製品計画、製造、マーケティングや販売の戦略立案・実行には独立性が確保されるとみている。調達のコストメリットを享受する富士通PCがシェア拡大路線へ向かうのか、特に2020年まで拡大が予想される法人分野でどう動くのか注目している」とコメントしている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内PC市場 2018年第1四半期の分析と2018年~2022年の予測」にその詳細が報告されている。