2017年のイーサネットスイッチ市場はDCのパブリッククラウド向け中心に需要増
2017年の国内企業向けネットワーク機器市場は、いずれの製品分野においても前年を上回った。企業向けイーサネットスイッチ市場は、成熟市場でも例外的に成長する「特異年」だった。データセンター向け市場において、パブリッククラウド向けを中心に需要が伸びたことと、企業や大学の既存イーサネットスイッチの更新が進んだことで2桁成長を達成した。
企業向けルーター市場も、企業の拠点に設置されることが多いローエンドルーターとSOHOルーターは出荷台数を大きく伸ばした。その背景には、「クラウド利用の拡大」と「多機能かつセキュアなWANサービスに対するニーズの増加」によるVPNサービス市場の成長があったとIDCでは分析している。
また、無線LANは、企業ネットワークのアクセス領域(エンドデバイスがネットワーク接続するネットワーク領域)における主流技術になっている。2017年のアクセスポイントの出荷台数および市場規模共に2016年を大きく上回った。
市場全体の2017年~2022年の年間平均成長率はマイナス2.4%と予測
今後の国内企業向けネットワーク機器市場に関しては、「ワイヤレスファースト」の動きが本格化し無線LAN機器市場は成長を続けるが、他の市場では成熟化が進むとみている。その結果、市場全体の2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス2.4%と予測している。
企業向けイーサネットスイッチ市場については、無線技術との競合、製品のコモディティ化およびダウンサイジングの進展が成長を抑制すると考えている。ワイヤレスファーストによって無線技術と競合する、L2 Fixed Unmanagedスイッチ市場は、2017年~2022年のCAGRでマイナス9.1%と大きく縮小すると予測している。
IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーである草野賢一氏は、「イーサネットスイッチベンダーと無線LAN機器ベンダーは、ワイヤレスファーストのアクセスネットワーク戦略を再考すべきである。イーサネットスイッチベンダーは、ニッチ市場として残存者利益を狙うか、無線LANポートフォリオを取り揃え拡充してワイヤレスファーストの波に乗るかの判断を迫られている。無線LAN機器ベンダーも製品ラインナップ拡充競争を続ける覚悟を持たなければならない」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内企業向けネットワーク機器市場予測、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。