予測期間前半ではハードウェアの支出額割合が最も大きい
発表によると、国内IoT市場の2017年の市場規模は支出額5兆8,160億円で、予測期間内に年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)15.0%で成長し、2022年の支出額は11兆7,010億円になる見込みだという。
この調査の結果、予測対象期間においてソフトウェアとサービスに対する支出割合は継続的に増加し、2022年に両者の合計は61.1%に達するとIDCでは予測している。一方、ハードウェアとコネクティビティはIoTに関わる製品/サービスのコモディティ化に伴うユニット単価の下落によって、支出額の割合は徐々に低下していく。
予測期間前半における支出額割合が最も大きいのはハードウェア。組立製造業、プロセス製造業、電力業など、重厚長大な設備を保有する企業では、信頼性や耐久性を備えかつ多様な機能を持ったセンサー/モジュールを伝統的に数多く活用してきており、それがハードウェアに対する支出を押し上げる要因の1つとなっている。
コネクティビティについては、流通業やサービス業による支出割合が大きい傾向がみられる。これは輸送貨物管理などのユースケースにおいて、国内外に出荷する貨物のトラッキングを実現する上で、モバイル通信、固定通信、近距離無線通信、衛星通信といったさまざまなタイプの通信サービスを組み合わせて利用していることが関係している。
クラウド利用の進行がソフトウェアの支出額を押し上げる
ソフトウェアは、4つの技術グループのうち最も早いスピードで支出額が増加する。これは、たとえば製造業において、IoTの利用環境がオンプレミスからクラウドへの移行が進むことや、新規にIoTクラウドプラットフォームを導入するケースが増加することに起因する。
また、個人消費者のスマートホーム(ホームオートメーションやスマート家電)を実現するアプリケーションへの需要が高まることが見込まれ、ソフトウェアへの支出が加速するとみられる。サービスについても、ソフトウェア支出の急速な拡大に伴い高い成長性が期待される。
たとえば、公共交通/情報システムや公共安全システムにおける付加価値創出を目的として、IoTシステムの導入/運用サービスへの支出が増大する。また、スマートグリッドにおける電力利用量の予測分析や、電力供給の最適化を目的としたサービスに対する支出も今後急速に拡大することが見込まれる。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストである鳥巣悠太氏は、「ベンダーは企業と共に、IoT向けのKPI(Key Performance Indicator)のあり方やセキュリティ対策のメソッドなどを根本的に見直す必要がある」としており、また「ベンダーは企業のIT部門とLOB(Line of Business)部門の双方へのアプローチ力を強化すると同時に、両部門の相互理解を深める取り組みが必須になる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内IoT市場 テクノロジー別予測、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。