NTT西日本はこれまで、地方自治体や大学、企業向けに、観光、防災分野等で新たな価値の創造に向けた、地域に密着したソリューションの提供や様々な実証実験を実施してきた。さらなる目標として、ICTを活用した社会課題解決を先導する「ソーシャルICTパイオニア」への変革を掲げ、地域の課題解決に対する具体的な取り組みの柱として「地域創生クラウド」構想を策定したという。
また、日本マイクロソフトは、2014年2月からクラウドベンダーとしていち早く、クラウドデータセンターの日本リージョンとして2リージョン(東日本と西日本)を設置し、その提供能力を拡充している。10月からは、自治体や公共機関におけるクラウドサービスの導入・移行・利用促進にさらに貢献したいとして「マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラム」を開始している。
このような背景のもと、両社は西日本エリア(富山県、岐阜県、静岡県以西の30府県)の地方自治体向けのクラウドサービス基盤の導入・展開について、地方自治体が利用するアプリケーション群を提供してきた地域のパートナー企業各社とも連携しながら進めていくことに合意したという。
「地域創生クラウド」構想とは
NTT西日本がめざす「地域創生クラウド」とは、NTTグループの様々な技術やNTT西日本が持つ各地域のデータセンターなどの設備、事業分野別のコンサルティング力、地域密着のサポート力に加え有力なパートナー企業の先進性の高いクラウド技術を組み合わせた、地域における情報集積プラットフォームになる。
このプラットフォーム上で、様々なアプリケーションが利用できるように各地域のパートナー企業とも連携を図り、自治体が抱える産業活性化、雇用創出、高齢化対策などへの対応や、人手不足に陥りがちな地域企業が求める仕事の効率化などの実現をめざすという。 将来的には、自治体での利用にとどまらず、観光や教育などの様々な分野でも活用できるように取り組んでいくとしている。
自治体分野における協業内容
「地域創生クラウド」構想の実現に向けた第一歩として、自治体向けクラウドサービス基盤を導入するにあたり、日本マイクロソフトの先進性の高いクラウド技術と自治体への支援プログラムをフル活用し、自治体システムに親和性の高いハイブリッドクラウドを提供する。
・ハイブリッドクラウドの提供
地方自治体が保有するシステムにおいては、データの保管場所が県内などに特定される運用が求められるものもあるため、要件に応じてプライベートクラウド、パブリッククラウドを最適に組み合わせるハイブリッドクラウドの活用が、重要な課題となっている。
今回の協業において、パブリッククラウドであるMicrosoft Azureと同様の技術からなるAzure StackをNTT西日本の地域データセンターに構築することで、機密データの保管場所を地域に限定するとともに、低遅延を要求するシステムなどを地域データセンターから提供する。
また、アプリケーションの性質に応じて、Microsoft AzureとAzure Stackを使い分けることにより、コストを最適化する。
・安定的かつきめ細やかな運用
自治体アプリケーションについては、ネットワーク、クラウド基盤、アプリケーションを含めて、すべてが安定的に運用されることが求められ、故障時の切り分け、復旧などを含めた、トータルかつきめ細やかな対応が求められる。
これに対し、協業を進めるにあたり、これまで地方自治体の保有するハードウェア環境で各種アプリケーションを提供してきた地域のパートナー企業各社にも積極的な参加、協力を呼び掛けていく。