データ予測からマルチクラウドのアプローチの必要性が明確に
エッジにおけるデータの増加、またAIおよびマシンラーニングのワークロードをサポートする大規模かつ強力なリアルタイムのコンピュートへのニーズの高まりによって、データセンターの分散化が本格的に進められている。
マルチクラウドおよびハイブリッドクラウドの導入モデルはさらに進化し、クラウドコンピューティング機能はデータジャーニーのあらゆるレイヤーに広がっていき、各レイヤーで固有のニーズに対応していく。
このようなエッジに近い部分のシフトによって、コア外部のアナリティクスやデータ管理をオンプレミスクラウドの拡張としてサポートする。パブリック、プライベート、ハイブリッドの組み合わせが新たな標準になり、マルチクラウドが現実化すると考えられる。
現在は大規模なパブリックデータセンターから最適化した特化型エンタープライズデータセンター、リアルタイムエッジ クラウド、さらにマルチクラウドITモデルに統合されるインテリジェントなエンドデバイスまで、広く分散されている。
AIとマシンラーニングが人だけでなくマシンについても生産性向上をリード
AIおよびマシンラーニングアプリケーションは、テクノロジーと人の複雑さを軽減することでユーザーエクスペリエンスを強化し、変革する。人が行う作業とマシンが行う作業の境界も変化し、すべての企業とシステムによる「考える」作業の多くがマシンインテリジェンスによって促進される。
今後もAIとマシンラーニングは、流入するデータを活用して優れた効率と知見を引き出し、私たちが日々利用しているアプリケーションとデバイスの両方を最適化する。パソコンは、利用パターンに基づいて消費電力需要を予測できるようになり、アプリケーションは引き続きユーザーの優先基準と行動を学習することで、よりパーソナライズしたエクスペリエンスを提供する。
大規模エンタープライズ システムでさえも、AIとマシンラーニングによって高度なオートメーションとインテリジェンスを促進し、利用可能なデータ量がPB(ペタバイト)規模からEB(エクサバイト)、さらにZB(ゼタバイト)規模へと急増するのに伴い、ユーザーは知見の収集やデータに基づく戦略的判断を簡単に行えるようになる。
5Gによってデータ、Webアプリが加速し、ソフトウェアデファインドITへシフト
5Gは、2019年の多くの予測の中で言及されているが、5GによってソフトウェアデファインドIT戦略の必要性がかつてないほど高まっていることは、あまり知られていない。5Gには、ソフトウェアデファインドネットワークおよび新たな分散型のコンピュートモデルが必要になる。
最終的に、すべてのデータを管理、分析、格納、保護すると同時に高速かつ大規模に伝送できるようにするため、フルスタックのソフトウェアデファインドデータセンターでサポートする必要がある。必要に応じて新しいソフトウェアコードやAPIを迅速に適用するため、企業には5Gインフラストラクチャーを簡単かつ機敏に管理する能力が求められる。
オートメーションとインテリジェンスも不可欠で、この部分こそスケーラブルなNVMeファブリックとSD-WANを実装したソフトウェアデファインドITが価値を発揮するところになる。
5Gの低レイテンシな高帯域幅データはARとVR、ゲーム、IoTのモバイルアプリをサポートする強力なビジュアル エクスペリエンスを提供し、エッジにおけるコンテンツへのニーズの高まりを後押しする。さらに、特定のOSやデバイスに依存しない進歩的なWebアプリが登場し、より幅広い場所、より幅広いユーザー層に高精細(HD)エクスペリエンスをもたらす。
AR/VRがビジネスシーンへオンサイトラーニングとクリエイティビティをもたらす
2018年におけるARとVRの飛躍的な進歩によって、これまで以上に没入的で強化されたビジュアルエクスペリエンスが実現した。その結果、2019年はビジネスシーンにおけるAR/VRの導入が増加する。
オンサイトトレーニングの実現やエッジにおけるデータへのリアルタイムアクセス能力によって、一定の取引環境や業界におけるスキルギャップを埋められるだけでなく、従業員がオフィスに縛られることなく最高のパフォーマンスを発揮するためのより自由な環境を提供できるようになる。
さらに、従業員はAR/VRエクスペリエンスを通じてリアルタイムにコラボレーションし、創造性を発揮できるようになる。あたかもすべての従業員が物理的に同じ場所で働いているかのような、仮想環境を確立できる。
AR/VRについて最も重要なイネーブラー(実現技術)のトレンドになるのはユーザーインターフェイスではなく、AR/VRの完全な没入体験の実現に欠かせないデータ、処理能力、パフォーマンスを提供する、データセンターおよびクラウドインフラストラクチャーの高度化した機能になる。
これは、AR/VRがスタンドアロンのエクスペリエンスであるという考え方から、モダン データセンターのAIがもたらす知見、また拡張しているデータプールなどの高度な機能を提供するプレゼンテーションインターフェイスであるという認識へのシフトの前兆となる。
招待式のミーティングから、新たな形のコラボレーションが発生
どんな僻地からでもオンライン接続して生産性を発揮できるようになった今日、「9時から5時まで」という概念が雲散霧消したが、いつ、どこに集まるという点については、依然として予定表に基づく招待がベースになっている。
しかし、新しいコラボレーションツールを通じてビデオ会議でファイルをリアルタイムに共有し、海外の同僚ともすぐにコミュニケーションを取ることができるようになったことで、この状況も一変しつつある。
2019年は、Webベースのコラボレーションツールを導入する企業が増加するとともに、進化するWi-Fi接続とコンピュートパワーのメリットを、さまざまなデバイステクノロジーが活用することで、企業間のコラボレーションが進化・発展し、より多くのことをより迅速に協力して実行し、より優れた成果を挙げることが可能になる。
ブロックチェーンによる連鎖反応
ブロックチェーンがどのように利益をもたらすのかについて企業が検討を続けている中、依然としてIT分野ではブロックチェーンが話題となっている。これからも、今すぐ導入することに価値があるかどうか、また自社のサプライチェーンや金融取引のセキュリティーと信頼を高めることになるかどうかを多くの企業が検証していくことになる。
すぐに導入することが自社にとって適切かどうか、またブロックチェーンをサポートする適切なインフラとシステム、サービスを社内に確立できているかどうかを企業が判断していく中で、2019年はブロックチェーンの実践的な導入の形成期になるだろう。
私たちの考え方は成熟度を増し、分散型の台帳が有用なツールであることを理解するようになった。この環境では、分散環境の信頼性とデータの不変性が最も重要な要素となる。これが、結果としてこの新しいテクノロジーのよりターゲットを絞った役立つアプリケーションにつながる。