顧客中心型の企業は、顧客を中心に据え、顧客に固有の課題と期待、およびニーズの背景を理解しながら、その期待に応える製品やサービスを一貫して提供している。顧客中心主義の推進は、デジタル・トランスフォーメーションの実現に当たって、カスタマー・エクスペリエンス(CX)リーダーやCIOが検討すべき領域の1つになる。
顧客中心主義を推進し、顧客への対応を通じて、ビジネスを成長させている多くの企業には、共通する習慣があることを、ガートナーは明らかにした。デジタル・ビジネス時代に顧客中心主義を進めるために必要な10の習慣には、以下が挙げられる。
顧客中心主義を進めるために必要な10の習慣
1. 継続的に顧客の声(VoC)に耳を傾ける:顧客中心型の企業は、顧客からさまざまな形で提供される個人情報を生かし、効果的なCXを推進している。
2. 顧客からのフィードバックに確実に対応する:リスニングやVoC手法によって顧客から得たフィードバックを顧客とのコミュニケーションにつなげられない企業が多い中、顧客中心型の企業は、フィードバックに確実に対応している。
3. 顧客のニーズを見越し、先回りして行動する:顧客中心型の企業では、より正確で適切な情報を顧客から収集できるようになっているため、CX担当者は顧客データを使用して状況に応じた効果的なCXを、先手を打って提供できる。
4. 顧客との共感を自社のプロセスやポリシーに組み込む:顧客中心型の企業は、顧客との共感を最初からプロセスやポリシーに組み込んでいる。
5. 顧客のプライバシーを尊重する:顧客中心型の企業は、顧客データをニーズの予測のために活用すると同時に、顧客のプライバシーを尊重している。
6. 顧客の日常生活を通じて価値を提供する:顧客中心型の企業は、顧客の日常に寄り添い、顧客にとっての価値を提供する。
7. エンゲージメントを維持するよう従業員のモチベーションを高める:従業員エンゲージメントが高まれば、企業全体の生産性や従業員定着率の向上、および欠勤の減少などにつながる。顧客中心型の企業は、優れた従業員エンゲージメントを実現し、それをさらに優れた顧客満足へとつなげている。
8. ビジョンを構築し、実行する:顧客中心型の企業は、説得力のあるビジョンを確立し、改善のための体系的なアプローチを展開することで、CXを向上させている。
9. CXの向上に対する責任者を明確にする:CXの計画に責任者がいなければ、どれほど 素晴らしい計画であっても実行時に役に立たない。顧客中心型の企業では、CXを担う責任者を置いている。
10. 顧客のニーズや状況に適応する:テクノロジは、これまでにない速度でビジネスを破壊している。デジタル・ビジネスは、リアルタイムで顧客と関わり、彼らの要求や状況に適応することを意味し、成功している企業はそれを実践している。
なお、ガートナーは2019年2月19日(火)・20日(水)に東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)において「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス&テクノロジ サミット 2019」を開催する。サミットでは、CXに関する最新トレンドや最先端の知見、洞察が提供される。今回発表された内容については、「デジタル・ビジネス時代における顧客中心型組織の10の習慣」(2月19日 12:30~13:15、11A)の中で詳しく解説されるという。