KPMGコンサルティングは1月26日、「KPMGグローバルテクノロジーレポート2022」（日本語版）を発表した。
レポートでは、KPMGが20年以上にわたりCIO（最高情報責任者）とテクノロジーリーダーを対象に実施してきた「グローバルCIO調査」の調査対象範囲を、より幅広い経営幹部へと拡大。世界15ヵ国、2,200人以上の経営層を対象にKPMGが独自に行った調査を基に、デジタル化の現状と課題、デジタル化先進企業に見える特徴などとともに、テクノロジー業界を代表する専門家へのインタビューの内容をまとめたもの。同社が発表した主な調査結果は以下の通り。
デジタルトランスフォーメーション
経営層は自社のDXが成果を挙げていることに自信を得て、今後の施策にも前向きに取り組もうとしていることが明らかになったという。市場の混乱や地政学上の緊迫は続いているものの、企業は新たなテクノロジーを受け入れ、新たなツールに投資する方向へと進んでいるとしている。
調査によれば、回答者のほぼ全員が過去2年間でDXによって自社の収益性と業績、またはどちらか一方が向上したと回答。また、主要な導入マイルストーンに対しても、計画より早く到達していることが明らかになったとのこと。
さらに、アプリケーションモダナイゼーションとインテリジェントオートメーションについては、今後数年といった長い期間をかけず、1年以内に優先的に取り組む可能性が高いと回答しており、多くの企業がこれらの領域において早く成熟することを期待している。
先端テクノロジー
今後2年以内におよそ67％がメタバース、非代替性トークン（NFT）、Web3などの先端テクノロジーの採用を計画しており、さらに、72％の回答者が量子コンピューティングへの投資を予定している。
また、顧客体験を充実させるという企業の戦略的目標において、エンタープライズテクノロジーは重要な役割を果たしているとのこと。今回の調査からも、顧客中心の姿勢がテクノロジーへの投資意欲につながっていることがうかがえたという。回答者のおよそ10人に9人（89％）が、各機能向けに効率化したエンタープライズアプリケーションを備えている（51％）、または、全社的に効率化・統合化したアプリケーションを備えている（38％）と回答。
一方、62％の回答者は依然として機能間のサイロ化への対応に取り組まなければならない状況であるとしている。
クラウドの導入
クラウドの導入に進展がみられたという回答は88％（10社に9社）に上り、また73％は基幹業務をクラウドに移行しつつあり、さらに15％はすでに移行を完了させ、その先のシステム最適化の検討をはじめている。
人材不足
デジタル技術の導入において企業が直面している最大の課題は、優秀な人材の不足だとレポートでは指摘。ビジネス領域の知識とデジタルスキルを併せ持つ人材が一層必要とされるなか、企業は能力開発の機会や報酬制度を設け、ソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストなどスキルを持った技術者にアピールする必要があるとしている。
サイバーセキュリティ
回答者の半数以上（58％）が、サイバーセキュリティ対策のスケジュールに遅れが生じていると回答。KPMGが2022年に発行したサイバーセキュリティに関するレポート「Cyber trust insights 2022」では、データ保護に関する懸念は、企業のデータ管理体制に対するステークホルダーからの信頼を損ねる最大の要因となっているとしている。
【関連記事】
・KPMG、経済安保やサプライチェーン戦略の策定などを含めた包括支援サービスを発表
・KPMGコンサルティング、データマネジメント態勢を可視化しロードマップ策定を支援するサービス開始
・セキュリティ担当者が提起すべき8つの主要課題 KPMGコンサルティングがレポートを公開
