「Oracle Coherence」は、複数ハードウェアを横断した仮想的な共有メモリ領域を実現し、ハードウェアのメモリ上限値に依存しないインメモリ高速処理を可能にするサーバー製品。この共有メモリ領域内でメモリ・データのバックアップを内部的に維持することによって、ハードウェアやネットワークの障害を透過的にフェールオーバーする、高信頼性インメモリ・データ管理が可能となる。
一方のヒロセ通商は、2004年に対面取引でFX事業を開始。同年11月には海外製為替システムを利用したオンライン取引のサービス提供を開始している。その2年後、同社は自社のオンライン取引サービスへの全面移行に向けて、口座数の急激な増加に対応すべく、1秒間の同時接続数2,000、50通貨ペア取引を可能にするスケールアウト可能なシステムを2007年5月より導入した。
しかし、同社のサービスは、口座数を大きく伸ばしたことに加えて、取引通貨ペアの種類が業界で最も豊富で、かつ最低取引通貨単位が小さいという特長によって、予想をはるかに超えるトランザクションが発生し、さらなるシステムの全面的な改善が急務となっていた。
というのも、業界での一般的な取引は1万円を1単位として行われるが、同社の顧客は最小単位の取引として1000円から行うことができるため、同じ1万円の取引でもシステム面の処理量は10倍のトランザクション(1000円 X 10単位)が必要となっていたという。
今回ヒロセ通商が刷新したシステムでは、大量データに対するデータ処理や計算処理の高速化、金融機関やオンライ本システムは、金融情報系システムの開発、提供を得意とするフラクタルシステムズが「Oracle Coherence」を活用して開発したFX取引企業向けの取引システム「U-Forex1」をベースにしている。
システムの処理能力は大幅に向上し、たとえば、ロスカット処理の検証においては、従来のシステムでは、10万口座10万ポジションでのロスカット処理に数分かかっていたものが、新システムでは10数秒で完了したという。
なお、本システムは、「Oracle Coherence」を中核として、「Oracle WebLogic Server」、「Oracle JRockit」および「Oracle Database」、「Oracle Real Application Clusters」も活用されている。
【関連リンク】
・「Oracle Coherence」製品概要
http://www.oracle.co.jp/campaign/coherence/index.html?cid=3201NOK0308110401