Adobe(以下、アドビ)は6月17日、AcrobatにAdobe Fireflyを統合しAcrobat AI Assistantで複数ドキュメント間のチャットをサポートすると発表した。
6月18日より、Acrobatのユーザーは、テキストプロンプトを使用して、現在流通しているPDF内にてAdobe Fireflyで画像を生成したり、編集できたりするようになるという。また、Acrobat ReaderとAcrobatのワークフローに統合された対話型エンジンである「Acrobat AI Assistant」の新機能により、ユーザーはPDFドキュメントやその他の形式のファイルを複数選択し、それら全体を横断して情報を取得したり、質問をしたり、インサイトを得たりできるようになるほか、コンテンツの作成も可能だとしている。さらに同社は、AI Assistantの議事録作成機能の強化も発表。日本語版の提供開始時期は未定だとしている。
Adobe FireflyがPDFに対応
Acrobatの新機能により、ユーザーはアプリを起動したまま、ドキュメント内の画像に手を加えたり、生成AIを使用して新規画像を生成したりできるようになるという。主な機能は以下のとおり。
- Acrobatの「画像を編集」機能に対して、Fireflyを活用した「生成塗りつぶし」「背景の削除」「切り抜き」といったツールが用意されており、ドキュメントに含まれる画像コンテンツの追加、削除、再構成を行える
- Acrobatの「画像を生成」機能を使用すると、Adobe Firefly Image 3 Modelによる画像をPDFに追加できる。画像サイズやスタイルを調整して、ドキュメントの任意の場所に追加可能
Acrobat AI Assistantで生産性と価値を向上
Acrobat AI Assistantの新機能は、ドキュメント内の情報からインサイトを得たり、コンテンツを整えて共有したりできるようになるという。新機能は以下のとおり。
- 複数のドキュメントを横断してインサイトを取得:一連のドキュメントを選択し、それらに共通するテーマやトレンドを発見し、異なるソースからの情報を集約できる
- 議事録作成機能:会議の主催者、参加者、欠席者のために、議事録をもとに主要トピック、重要ポイント、アクションアイテムを含む、会議の内容が把握できる生成サマリーを自動的に作成。また、音声コマンドによるモバイルアクセス機能により、音声を使ってどこからでもAI Assistantとの対話が可能
AI活用における信頼性の構築
Adobe FireflyやAcrobat AI Assistantを含むアドビのAI機能は、説明責任、責任、透明性というアドビのAI倫理に沿って開発されているという。Adobe Fireflyは、Adobe Stock画像や著作権が失効したパブリックドメイン画像を含む権利取得済みのコンテンツでトレーニングされており、安全に商用利用できるよう設計されているとしている。クリエイティブプロセスにおける生成AIの使用に関する透明性を示すため、Adobe AcrobatのAdobe Firefly搭載機能で作成または編集されたデジタルコンテンツに、自動的にコンテンツクレデンシャルを付与し、ユーザーとの信頼関係を構築するデジタル成分表示ラベルが提供されるとのことだ。
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