フリーは3月9日、医療業界のバックオフィス業務を支援する新たなパッケージ「freee for 医療」を発表した。
同パッケージは、「医療法人・病院の黒字経営を支える」をコンセプトに、リアルタイムな数字の可視化と業務自動化を実現するもの。医療の会計業務において欠かせない、「病院会計準則」や「社会福祉法人会計基準」など複数の基準をまたいだ施設・部門別のB/S(貸借対照表)作成を可能にし、行政提出用のデータ作成を簡素化させる機能を有するという。
同日に行われた説明会では、同社 執行役員 業種戦略グループ長 和田矩明氏が、新パッケージの概要および背景にある業界の課題を説明した。同氏は、昨今の医療機関における厳しい経営状況について「医療法人は高額な医療機器や建物などの資産を抱えるため自己資本比率が高い一方で、現預金の回転期間が中央値で2.5ヵ月という“自転車操業”の状態にある」と指摘する。
さらに、診療報酬の入金には請求から2ヵ月ほどタイムラグがあり、かつ返戻リスクをともなう。和田氏は「現時点でいくら現金が戻ってくるのかを可視化することは重要だが、多くの中小医療法人にとってその把握自体が困難な状況にある」と説明した。
こうした短期的な資金繰りの課題に加え、中長期的な課題として「地域医療構想への対応」がある。厚生労働省の指針により、2040年に向けて急性期機能の集約や在宅医療・介護施設へのシフトなど、一つの法人が複数の異なる業態を運営する「経営の多角化」が加速しているという。
しかし、業態ごとに適用される会計準則が異なるため、現場ではデータの分断が生じ、経営状況の把握を妨げているとした。この課題に対応すべく、フリーは医療・福祉・中小企業向け総合コンサルティングファームである日本経営グループとパートナーシップを締結。同グループの専門知見をクラウド基盤に統合した「freee for 医療」をリリースするに至ったとしている。
和田氏は、同パッケージの特長として「医療法人会計基準」および「病院会計準則」に準拠している点を挙げる。また、法令改正や税制変更があった場合は迅速にアップデートを行い、最新の法制度に準拠できるとした。
また、もう一つの特徴として施設・部門別B/Sに対応可能な点を挙げる。これまで、資産や負債の状態を示すB/Sを施設単位で、かつ異なる準則に基づいて統合管理できている小規模の医療法人は少なかったが、これをP/L(損益計算書)とあわせて管理を一元化することで、経営の意思決定スピード向上を支援できるという。
和田氏は最後に、今後の展望として「当社が推進する『freee-mcp』を通じたAI活用を医療ドメインでも加速させ、蓄積されたデータがそのまま経営判断に直結する仕組みを構築していく」と述べる。さらに一医療法人の枠を超え、地域全体でバックオフィス機能を共有する「シェアードサービス」や「アウトソーシングセンター」の基盤としての活用も視野に入れていると力を込めた。
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