Zendeskは3月26日、日本市場における事業戦略説明会を開催した。
会見の冒頭、APAC&日本担当シニアヴァイスプレジデント Mitch Young(ミッチ・ヤング)氏は「AIはあらゆる分野に影響を与えているが、特にカスタマーサービス領域における変動は著しい」と述べ、顧客の期待値が高まっていると話す。同氏によれば、顧客の多くはAIの普及を前提として、より高度なパーソナライズと、チャネルを問わない問題解決を強く求めているという。
これに応えるため、同社はAIエージェントと人間のエージェントがシームレスに連携する統合型プラットフォーム「Resolution Platform」を展開。AI関連のグローバル年間売上高は既に2億ドルに達しており、同分野におけるリーダーシップを強調した。
さらに、日本市場の動向について森氏は、国内の新規受注および売上全体が2桁成長を記録しており、グローバルの中でも日本が上位の成長率を維持していることを報告した。特にAI分野の成長率は前年比100%を超えており、日本のトップ顧客の約70%が既にAIエージェントを導入しているという。
今回の発表で強調されたのは、AIエージェントの利用における新しい価格体系「アウトカムベース・プライシング(成果連動型課金)」である。これは、従来のソフトウェア業界で一般的だったアカウント数に応じた課金ではなく、AIが実際に顧客の問題を解決したという「成果」に対してのみ課金を行うモデルだ。
森氏はこの新モデルの意図について、「AIの導入価値やROIに対して、価格設計そのもので価値を提供している」と説明する。具体的には、AIが問い合わせに対して自動解決を実現した場合に対価が発生する仕組みとなっているという。「AIは使う人を減らす、あるいは業務効率を上げるためのもの。成果が出たら支払い、出ないなら増えないという構造は、人とAIが協働する時代の買い方に合致している」と語り、日本企業特有の「ROIが見えにくい」という稟議の壁を突破する有効な手段になるとの考えを示した。
また、懸念される「成果の定義」については、単にチケット(問い合わせ管理単位)をクローズしただけではなく、複数のデータポイントを基にAIが「真に解決したか」をモニタリングするという。解決したと判断されても、48時間以内に同一人物から同じ内容で再問い合わせがあった場合は、成果としてカウントされない厳格な仕組みを導入しているとした。
セキュリティ要件への対応について同社は、2026年3月にISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)のクラウドサービスリストに登録されたことを発表。登録にあたっては、政府認定の第三者機関による審査を経て、約1,200項目に及ぶ管理要件をクリアしている。これにより、中央省庁や地方自治体といった公共セクター、さらには高いセキュリティ水準を求める金融・通信業界への展開を加速させるという。
今後の展望として、森氏はカスタマーサービス(CX)領域のみならず、従業員向けサービス(EX/ES)領域への注力を掲げた。特に2026年夏以降、ITSM機能を強化し、IT資産管理やソフトウェア管理までをZendesk上で完結させる計画だ。また、米Forethought社の買収提案も発表されており、自己学習型AIによるワークフローの最適化をさらに進めていく方針である。
【関連記事】
・Zendesk、Forethought買収で自己改善型AIサービスを強化
・Zendesk、イスラエルの企業内検索エンジンプラットフォーム「Unleash」を買収
・Zendesk、Momentive買収で売上高35億ドル達成を1年前倒しの見込み
この記事は参考になりましたか?
- 関連リンク
- この記事の著者
-
小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
