レッドハットは4月15日、AIにおける国内のパートナービジネス戦略に関する記者説明会を開催した。
レッドハット 代表取締役社長 三浦美穂氏は説明会の冒頭、AIの領域において「レッドハットはプラットフォーム屋の仕事に徹する」とし、特定のAIモデルに依存せず、顧客が最適なテクノロジーを自由に選択し、安全に運用できる環境を整えることが同社の役割であると強調した。特に日本市場は、グローバルにおいてパートナービジネスの比率が極めて高く、同社の成長はパートナー企業の実行力と顧客基盤との融合に支えられていることが示された。
レッドハットの具体的なパートナー戦略について、同社の鳥羽謙一氏は「AIを単なる実験ではなく、運用できる状態にしていく」ことを掲げ、その中核となる柱に「より包括的なソリューションの提供」と「より広範囲な顧客セグメントへのリーチ」の2つを挙げた。
1つ目の「より包括的なソリューションの提供」に関しては、パートナー独自のソリューションやサービスを通じて、顧客ごとに最適化されたAI環境の提案・実装・運用を目指すという。これには、日本語特化AIモデルや業務特化AIエージェント、フィジカルAIなどが含まれる。レッドハットは「Red Hat AI Enterprise」を提供し、セキュリティ、アジリティ、安定稼働をそろえたプラットフォームを保証すると述べる。
2つ目の柱である「より広範囲な顧客セグメントへのリーチ」に関しては、レッドハット単独では到達できない多様な業種・規模の顧客への展開を実現すべく、全国に広がる販売パートナー(リセラー)を支援するディストリビューターとの協業を深化させるという。具体的には、コマーシャル市場向けのプログラムと投資を強化し、「インセンティブ強化」「技術支援リソース強化」「トランザクションの迅速化」という3つの柱でエコシステムを底上げするとしている。
パートナー企業として登壇したNECの吉川彰一氏は、1999年から25年以上続くレッドハットとの協業の歴史を振り返りつつ、AIを「業務変革の担い手」として活用するソリューションを提示した。具体的には、マーケティング施策の立案やサプライチェーンにおける調達交渉にAIエージェントを活用するものや、営業提案書の作成をAIが支援するものなど紹介された。
吉川氏は「AIを百科事典のように使う段階は終わり、業務そのものをいかに効率化し、価値を生むかが焦点だ」と指摘する。これらの高度なAI活用を支える基盤として、NECはレッドハットのプラットフォーム上に独自の「NEC Agent Platform」を構築している。インフラの差異を「Red Hat OpenShift AI」が吸収することで、オンプレミス、AWS、Azure、Google Cloudなど、顧客が望むあらゆる環境で一貫したエージェントサービスを提供できる体制を整えているとした。
最後に、ディストリビューターの立場としてSB C&Sの永谷博規氏が登壇。同社は2007年からレッドハットとの協業を続けており「Red Hat AIのエコシステム戦略を網羅している」ことを強調する。
永谷氏は、独自のAIインフラ構築支援の取り組みとして、2025年7月に開設されたAIインフラのコラボレーション/イノベーションHUB「C&S AI INNOVATION FACTORY(C&S AIF)」を紹介した。ここでは、NVIDIAのGPUサーバーや高速ネットワーク、ストレージをそろえ、パートナー企業向けにAIインフラ構築のハンズオンを提供しているという。永谷氏は、この環境に「Red Hat AI」をデプロイし、実践的な構築力を身につけるためのメニューを2026年夏に拡充する計画を明かした。これまでに延べ420名のエンジニアが参加しているとし、「メーカーが伝えたい最新のテクノロジーを我々が検証・型化し、全国のパートナーを通じて顧客へ届けていく」と述べた。
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