SAPでは、今年の5月、新世代のビジネスアプリケーションの提供を可能にする本格的なインメモリコンピューティングを推進していく計画を発表。
SAP HANAはSAPが取り組む革新的なインメモリコンピューティングを具現化したソフトウェアの第一弾となる。
この発表に際し、SAPジャパン 代表取締役社長のギャレット・イルグ氏は「多くの企業は、瞬時に意思決定を行うための真のリアルタイムの情報分析および洞察力を必要としている。SAPではインメモリ技術とソフトウェアの革新によって、創業以来追い求めてきた「真」のリアルタイムの可能性をさらに広げていく」と今後の戦略を発表した。
SAP HANAは、強力な演算エンジンとデータベースをメインメモリ上に統合し、ビジネスに特化した使いやすいデータモデリング・ツールと組み合わせて提供される。
ユーザーは、業務データや分析用データ、Webのデータなど事実上あらゆるデータソースから、リアルタイムかつ単一の環境で、しかもデータウェアハウスやその他のシステムに影響を与えることなく瞬時にアクセスし、検索、モデル化、分析ができるようになるという。
たとえば小売業の従業員であれば、商品単品ごとの店舗在庫情報に対し、その日の販売量、前週の販売推移、物流センターの倉庫在庫、市場価格の変動、前年の傾向値などをもとに、最適な発注量を手元のモバイル端末から瞬時に割り出すことができる。
電力会社の従業員であれば、使用電力量のデータをもとに特定の地域や時間帯の傾向を割り出し、そのデータを比較分析することで、利用状況データへの即時アクセスに基づくリアルタイム・プランニングも可能とのこと。
さらに、金融サービス会社であれば、リアルタイムでのリスク管理を実行し、インターネット情報も含めた非構造化された信用度採点データとそれ以外のデータを結合して市場のリスク資産総額を測定するといったこともできるという。
なお、SAP HANAは、インテルとSAPが共同エンジニアリングを通じて、インテルXeonプロセッサー 7500 番台で最適に稼働するように最適化している。SAPジャパンでは、今後も、オープンなエコシステムを活かし、SAP HANAを支援する戦略的ハードウェアパートナーとの協業を拡大していく予定だという。