発表によると、今回の調査を通じて、パソコン、電話・通信回線、複合機といったIT機器の利用が中堅中小企業に浸透している一方、導入したITを有効活用できていないケースが多いことがわかったいう。
とくに、セキュリティーや災害時運用への対策の必要性を認識しながらも、有効な対策を講じることなくリスクを抱えながらIT機器や業務システムを運用している中堅中小企業が多く、自社要員中心のIT運用管理体制に限界があることが、その背景にあることも明らかになったとしている。
発表によると、調査結果の主要なポイントは次の通り。
◎中堅中小企業で進むIT化
会計業務や売り上げ集計を中心としてIT対応が順調に進んでおり、IT化の比率1位は会計業務で69.4%、2位は売り上げ集計業務の59.3%という結果が得られたという。また、「お客様情報の管理」「営業・販売支援・マーケティング」「従業員の勤怠管理」といった業務において、それぞれ1割を超える企業が今後のIT化を検討しているという。
◎光回線が普及、拠点間通信用途にVPNも浸透
光回線を利用している企業は77%であり、拠点間で用いている通信サービスでは、IP-VPNやインターネットVPNが45.7%と回答。複数事業拠点の連絡に電子メールを利用しているのは89.5%にのぼり、過半数は拠点間で共用ファイルサーバーを運用しているという。
◎IT普及の裏で課題も山積
「改善ニーズ」として、「システム化・自動化」への要求が高い傾向があり、「BCP、リスク管理、セキュリティー」がこれに続いており、改善を求められているポイントであるとしている。
◎改善対策の遅れ目立つ
改善対策の実施状況では、30項目の全体平均で67.6%が改善や見直しの対策をとっておらず、多くの課題がリスクとして多くの企業に内在しているという。また、改善、見直しの実施率が最も低く、対応に遅れが見られる課題は「災害時のPC、FAX ・複合機、通信回線の保全が不安、対策が分からない」であり、79.3%を占めているという。
◎IT管理者に過重な負担
各種アドバイザーを求める声は強く、その背景としてITの運用管理者の作業負担が日常的に重いため、社内の従業員に対するサポートが手薄になった可能性が強いとしている。PCなどの利用方法に困った時、52.6%が「専門の問い合わせ窓口は設けていない。近くにいる同僚に聞くなど勤務者間で自己解決している」と回答しており、IT運用管理者が多忙な中で、突発的なトラブルシューティングなどに迅速に対応できない可能性も浮上しているという。また、障害からの復旧に対して「特に対策を取っていない」とする企業で39.4%あり、災害など不測の事態の際にIT管理者の作業許容量をオーバーする危険性を秘めているとしている。
■ニュースリリース
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/news/2012/0120it/