もはや日常茶飯事と化したシステム障害への対策に、いよいよ大手ベンダーが動き出した。
6月2日、富士通株式会社はシステム開発(以下、SI)プロジェクトにおける開発リスクの軽減、SI品質の向上等を目的とした新会社「株式会社富士通アドバンストクオリティ」の設立を発表した。
新会社では、SIプロジェクトごとに、SIにおける豊富な経験やノウハウを持つベテランSEが、第三者としての品質検証を行うとともに、SEに対し品質に関する教育を行い、品質に関する考え方やスキルなどを継承していくという。
第三者品質検証では、システム構造設計からプログラムテスト工程に携わる作業者全員の作業プロセスにおいて、当該プロジェクトの作業手順が遵守されているかを確認したうえで、適宜改善提案を行っていく。品質に関する教育では、対象プロジェクト全参加者に対し、品質に関連する付帯ドキュメントの作成手順や品質管理手法などの教育をプロジェクトの進行に合わせてタイムリーに行う。
SI品質の向上の動きは、富士通に限ったことではない。
2008年4月には、NTTデータ、NEC、日立製作所、富士通など国内システム大手六社による仕様書統一のための検討会が発足している。これは、システムの基本機能について、顧客に説明する際の書式の統一を目指したもの。仕様書統一により、システムの基本機能について、開発作業前に顧客、開発者間のコンセンサスをとり、初歩的なミスを防ごうという試みだ。
「転んだ後の杖」から「転ばぬ先の杖」へ―「障害が起きて当たり前」のシステム開発が変わる日が来るかもしれない。