「クラウドサービス関連ITサービス市場」は、(1) SI/コンサルティングや運用サービスなど、クラウドサービスの導入/運用をベンダーの知識/知見に基づき人的能力を提供し支援する「クラウドサービス向けITサービス」と、(2) IaaSやホスティング型プライベートクラウドなどを含む「クラウドホスティング」を合算したもので、全てITサービス市場に含まれる。
なお、ITサービス市場と同様に、ハードウェア/ソフトウェア/通信サービスは、クラウドサービス関連ITサービス市場から除外している。
国内ITサービス市場全体は、企業業績の回復や、金融や政府/公共分野における大型投資案件などを背景に足元では堅調に推移しているが、その成長率は中長期的には低下傾向にある。
一方で、クラウドサービス関連ITサービス市場は、既に3,000億円を超える規模に達しているにも関わらず、引き続き非常に高い成長率で拡大することが見込まれる。
クラウドサービス自体の普及、ホスティング型プライベートクラウドの利用拡大、ハイブリッドクラウドの本格化といった要因がこれを支えている。
さらにIDCでは、ビッグデータを含むビジネスアナリティクスやモビリティ、ソーシャルビジネスといった、クラウド以外の「第3のプラットフォーム」の3分野向けの導入/運用を支援するITサービス市場についても新たに調査を行った結果、いずれも国内ITサービス市場全体と比較して、高い成長率で拡大すると予測している。
一方で、第2のプラットフォーム向けの「伝統的な」ITサービスは、2015年以降、縮小を加速していくとみている。
IDC Japan ITサービスマーケットアナリストの植村卓弥氏は、「2019年までの予測期間の後半にかけては、既存業務をクラウドに移行/継承するためのITサービス(Cloud Enabled)から、アナリティクスやモビリティ、ソーシャルビジネスを活用し、クラウドを前提とする(Cloud Native)新たなワークロード/システム領域の支援サービスが求められる機会が増加していく。ITサービスベンダーが成長を続けるためには、こうした新たなワークロードの支援において、テクノロジー視点だけでなくビジネス/経営視点においても何らかの価値を提供し、存在感を示していく必要がある」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内クラウドサービス関連ITサービス市場2014年の実績と2015年~2019年の予測」にまとめられている。また、第3のプラットフォーム向けITサービス市場については、「国内第3のプラットフォーム向けITサービス市場2014年の実績と2015年~2019年の予測」に詳細が報告されている。