今回の調査では、クライアント仮想化導入企業とクライアント仮想化導入企業でワークスタイル変革を実施してい る企業のROIを比較分析した。それぞれ、421.2%、453.2%と算出され、ワークスタイル変革実施企業のROIがより高い結果となった。投資額、ベネフィットについても、同様の傾向が見られる。ワークスタイル変革実施企業は、全社目標が設定されているケースも多く、具体的な効果が「見える化」されやすいと考えられる。
ワークスタイル変革に取り組んでいる企業で、クライアント仮想化導入企業における初期投資額、年次投資額、ベネフィットは、それぞれエンドユーザー1人当たり22万5,640円、5万7,448円、83万7,447円となった。
クライアント仮想化製品の従業員普及率(クライアント仮想化製品を使用している従業員の割合)は41.7%で、エンドユーザーの1日当たりの平均使用時間は約3.68時間(1日8時間勤務と想定した場合)となった。
また、クライ アント仮想化製品の導入によって、エンドユーザー、IT管理者およびITスタッフ、企業全体でそれぞれ28.0%、35.9%、34.2%の生産性向上などの便益増加が見られた。
近年、クライアント仮想化のソリューションおよび構成の多様化と、ストレージやネットワークなどインフラ系への投資が進んだことで、投資額は増加傾向にある。一方、投資額の増加およびワークスタイル変革などの施策によって、スループットが向上し、生産性向上や業務効率化によるベネフィットの向上に繋がっている。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「ITの有用性を測定する定量的指標としてROIは有効な指標のひとつである。今後、適正かつ健全なIT投資/活用が経営戦略上不可欠であり、ROI分析によって、クライアント仮想化がエンドポイントにおける重要なIT施策のひとつと捉えられる」と述べている。
■ワークスタイル変革実施企業の値
- Initial Investment(1人当たりの初期投資額。導入時にかかる投資額):225,640円
- Ope. Investment(1人当たりの年次投資額。毎年かかる保守運用費用・1年分):57,448円
- Benefit(1人当たりの1年分のベネフィット(リターン)の総額):837,447円
- Cash Flow(1人当たりの1年分のキャッシュフロー。1年分のベネフィットから年次投資額を引いた額):779,999円
- Running Cash Flow(1人当たりの3年後のキャッシュフローの総和):2,114,357円
- Investment Discounted(1人当たりの総投資額(初期投資額+3年分の年次投資額)を現在価値に割り戻した額):363,620円
- Benefit Discounted(1人当たりのベネフィットの3年分の総額を現在価値に割り戻した額):2,011,406円
- NPV(Benefit DiscountedからInvestment Discountedを引いた額):1,647,786円
- ROI(NPVをInvestment Discountedで割った値):453.2%
- Payback in Months(初期投資額を回収できる期間):9.7か月
注:
- ROI算出に当たって、投資期間は3年間と設定。
- Discount RateはIDC ROIメソドロジーによって12%と設定。
今回の発表は、IDCが発行した「2016年国内クライアント仮想化市場ROI分析:高い投資対効果の実証」にその詳細が報告されている。