ベンダー別売上額シェアはトップは53.4%の富士ゼロックス
MPSは、企業のオフィス出力環境の現状を分析した上で、最適な出力環境を構築、その環境を継続的に維持/運用していくアウトソーシングサービス。MPS導入によって、出力環境に関するTCO(Total Cost of Ownership)の把握/削減、出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減といった効果を期待することができるという。
MPSは、欧米諸国を中心に市場が拡大しており、全社レベルでプリント環境のコスト削減、業務効率化、環境負荷低減に取り組む企業を中心に、国内でも導入が進んできている。2015年の国内MPS市場の売上額は557億8,000万円で、前年比20.6%の増加だった。
2015年の国内MPS市場のベンダー別売上額シェアは、富士ゼロックス53.4%、リコー24.7%、キヤノン12.5%、日本HP(HP Inc.)3.3%、その他のベンダー6.1%だった。昨年に続いて、2015年も富士ゼロックスがシェア1位を維持している。
ここ数年、リコー/キヤノンといったベンダーが、少しずつ首位の富士ゼロックスからシェアを奪う傾向が見られたが、2015年はこの流れに歯止めがかかり、わずかながら富士ゼロックスのシェアが上昇した。 リコー、キヤノンの新規販売拡大が一段落する中で、富士ゼロックスの新たなMPSへの取り組みがユーザー企業に受け入れられ始めている可能性がある。ただし、IDCでは今後もこの傾向が続くかどうかは、来年以降慎重に見極める必要があるとしている。
MPS市場全体は拡大するものの、サービスのコモディティ化が進む
国内MPS市場全体は拡大を続けているが、MPSというサービス自体がコモディティ化する傾向にあり、各ベンダーは他社との差別化に苦しんでいる。IDCでは、今後国内市場において、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術といった第3のプラットフォームの普及を前提とした、ビジネスモデルの転換が、あらゆる産業分野で起こると予測している。
こうした変革は、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation – DX)と呼ばれており、中でも多面的な顧客体験を提供するオムニエクスペリエンスが注目されている。
今後のMPSは、DXを前提として、紙を含む多面的なメディアを顧客に提供するプラットフォームと連携し、顧客体験と社内ドキュメントと包括的に管理することができるようなサービスへと変化する必要がある。こうしたDXへの対応は、他社差別化要因というよりも、MPSを提供する全てのベンダーが対応すべき必須要件となっていくとIDCでは見ている。
IDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は、「国内市場においてMPSのコモディティ化が進み、各ベンダーは競合差別化に苦慮している。今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応がMPS差別化要因となり、DXに対応できないベンダーは市場からの退場を余儀なくされる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内マネージドプリントサービス市場シェア、2015年:従業員規模別分析」にその詳細が報告されている。