2015年の実績は前年比成長率3.4%、4,791億4,300万円
2015年の国内EAソフトウェア市場は、前年比成長率が3.4%、市場規模は4,791億4,300万円となった。2014年にPC刷新に伴うツールの入れ替え需要で市場を拡大したERMソフトウェアと、PLMソフトウェアの一部にその反動が見られたが、業績が好調となった製造業を中心に原価管理や生産管理、物流管理の需要からSCMソフトウェアが好調となり、市場規模を拡大した。
2016年は、競争力強化への注力で、効率化や社内外の共創体制の構築を目指した既存システムの統合や連携強化の取り組みが増加している。EAソフトウェアは、オンプレミス利用が主流だったが、2015年の後半からマイナンバーなど人事情報保管も可能なセキュリティ機能が注目され、クラウド環境の利用が拡大している。
国内EAソフトウェア市場は、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)4.1%で推移し、2020年の市場規模は5,853億9,500万円に達すると予測している。アジアなど海外への日系企業の進出は、国内本社での拠点データ管理需要を生み、国内EAソフトウェア市場の促進要因となる。
しかしその需要が一巡し、海外投資へ軸を移すとみられる2019年頃から国内市場の成長率は緩やかになり、一方アジア市場はさらに成長するとIDCではみており、調査レポートでは両市場の成長率比較を行っている。
今後はBAやセキュリティ対策も含めたEAソフトウェアのクラウド移行支援が重要
今後は、システム連携とデータの集約管理に適したクラウドへの移行検討が本格化する。そのため、集約されたEAデータを分析するBusiness Analytics(BA)導入と、高度なセキュリティ対策も考慮したITサプライヤーによるクラウド移行支援が重要となる。
また、SaaSをはじめとしたクラウド利用に加え、中長期での顧客のビジネス支援を考慮したサブスクリプション型のソフトウェア提供が拡大するとみている(詳細はライセンス別市場予測として、各ソフトウェア市場別で調査レポートに掲載している)。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリストの もたい洋子氏は、日本とアジアのEAソフトウェア市場を比較し、「日系企業のグローバル進出の根底には、少子高齢化に伴う国内市場の縮小懸念があり、将来に渡る労働力確保は長期で取り組むべき最大の課題である。日本の主要産業である製造業では次世代のものづくりを目指す共創体制構築に向け、クラウドやデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が活性化する。そのためITサプライヤーは、顧客との継続的な取り組みに適したビジネスモデルへの変革を、顧客社内のスキル継承やナレッジ共有も考慮して進めるべきである。アジア地域では欧米と日系ベンダーの競争激化で、新たな製造システムの先進事例が数多く生まれる可能性があり、注目すべき市場である」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内EAソフトウェア市場予測、2016年~2020年:機能市場/ライセンス/産業分野/従業員規模別の分析」にその詳細が報告されている。