2016年は前年比11.0%増、480億6,800万円と予測
IDCは、2016年における国内コンバージドシステム市場の前年比成長率は11.0%になると予測している。サブマーケット別に見ると、インテグレーテッドプラットフォームが1.0%減、インテグレーテッドインフラストラクチャが0.1%増、ハイパーコンバージドシステムが105.5%増を見込んでいる。
ハイパーコンバージドシステムは、インテグレーテッドプラットフォームやインテグレーテッドインフラストラクチャが持つ導入メリットである「導入容易性」「導入工程の短縮」「システムの安定稼働」「ワンストップサービス」に加えて、「スモールスタート」「柔軟性/拡張性」といったメリットを併せ持っている。このような特徴によって、相対的に導入規模の小さい企業や事業拠点、競争環境の変化が大きい業種/業態において採用が進むとIDCではみている。
ハイパーコンバージドシステムは二桁台の成長率を維持か
2020年の国内コンバージドシステム市場は、698億9,600万円になると予測している。2015年~2020年の年間平均成長率は10.0%になる。ハイパーコンバージドシステムの高成長は、2016年~2020年の全予測期間を通じて持続し、支出額で二桁台の成長率を維持するとみている。
一方で、インテグレーテッドプラットフォームやインテグレーテッドインフラストラクチャの支出額は、ほぼフラット、もしくは数%程度の成長率にとどまると予測している。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ マーケットアナリストの宝出幸久氏は、次のように分析している。
「国内ハイパーコンバージドシステム市場は急速に成長している。ハイパーコンバージドシステムは、コンバージドシステムの他のサブマーケット(インテグレーテッドプラットフォームやインテグレーテッドインフラストラクチャ)と比較し、相対的に小さな規模へ適用領域が拡大している」
「ハイパーコンバージドシステムの普及戦略では、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)や中小規模環境といった領域に力点が置かれていることが多い。しかしながら、今後、ハイパーコンバージドシステムの機能や信頼性が向上し、迅速な導入、運用管理の効率化、スモールスタート、拡張性といったハイパーコンバージドシステムのメリットがITバイヤーに浸透することで、ハイパーコンバージドシステムの適用規模やワークロードが拡大する可能性もある」
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内コンバージドシステム市場予測、2016年~2020年」にその詳細が報告されている。
コンバージドシステムの定義
IDCでは、インテグレートッドシステムおよびハイパーコンバージドシステムを合算した市場をコンバージドシステム市場と定義している。
■インテグレーテッドシステム:サーバー、ディスクストレージシステム、ネットワーク機器およびソフトウェアの組み合せをベンダーが認定した上で統合したシステムパッケージをインテグレーテッドシステムと定義している。なお、インテグレーテッドシステムは、インテグレーテッドプラットフォームとインテグレーテッドインフラストラクチャに細分化される。
・インテグレーテッドプラットフォーム:サーバー、ディスクストレージシステム、ネットワーク機器およびシステム管理ソフトウェアに加えて、他のソフトウェアを追加したり、追加したソフトウェアにシステムを最適化したりしている。追加されるソフトウェアにはアプリケーション開発用ソフトウェア、データベース、テストツールや統合ツール、業務アプリケーションなどがある。
・インテグレーテッドインフラストラクチャ:用途を限定せずに分散型のワークロードを広くサポートできるように構成されている。インテグレーテッドプラットフォームとの相違点は、特定のワークロード向けに最適化していないことである。インテグレーテッドインフラストラクチャは、ベンダー1社によって提供されることもあれば、複数ベンダーのパートナーシップによって提供されることもある。複数ベンダーのパートナーシップによって提供されるインテグレーテッドインフラストラクチャは、構成の事前検証や統合したシステムパッケージとしての提供からサポートまで、ベンダー間の高度、かつシームレスな協調関係によって提供されるものである。
■ハイパーコンバージドシステム:サーバーベースのハードウェアを高度に仮想化して、単一のサーバーベースハードウェアによって、コンピュートおよびストレージ機能を提供する製品をハイパーコンバージドシステムと定義している。