2016年から2021年の年間平均成長率はマイナス0.2%
2016年の国内企業向けネットワーク機器市場は、前年のプラス成長から一転して4.6%減のマイナス成長に転じ市場規模は2,053億4,900万円になった。2016年の同市場は、データセンター向けイーサネットスイッチ需要の拡大や無線LANアクセスポイントの出荷台数増加は見られたものの、全体的には市場の成熟化が改めて浮き彫りになったといえる。
3つの製品分野のいずれも前年の市場規模を下回り、2016年の前年比成長率は、企業向けイーサネットスイッチ市場がマイナス4.9%、企業向けルーター市場がマイナス3.0%、企業向け無線LAN機器市場がマイナス6.0%になった。
今後の国内企業向けネットワーク機器市場に関しては、市場全体の成熟化の進行に伴って大きな成長は見込みにくいものの、安定した市場であるともいえる。国内企業向けネットワーク機器市場全体の2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス0.2%で、2021年の市場規模は2,036億3,800万円と予測している。
製品分野別に見ると、新規導入の余地が残されている企業向け無線LAN機器市場は、CAGRを2.6%と予測している。また、企業向けイーサネットスイッチ市場は、データセンター向けイーサネットスイッチ市場という成長領域を内包しつつも、CAGRはマイナス0.2%に留まるとみている。
ベンダー別ではシスコシステムズ、アライドテレシス、ヤマハの順
国内企業向けネットワーク機器市場をベンダーシェアの視点から見ると、2016年も3つの製品分野すべてにおいて首位を獲得したシスコシステムズが、45.6%という高いシェアを維持した。
また、国内企業向けネットワーク機器市場全体の2位以下は、2015年の混戦状態から、アライドテレシスとヤマハが一歩抜け出した。2社ともに、従来の主力製品分野が好調であったことに加えて、近年取り組んできた新たなソリューション開発や製品分野の開拓が、成果に結びついてきたことが背景にあるとIDCでは分析している。
「成熟化が言われて久しい企業向けネットワーク機器市場において、いずれのベンダーも、プロダクトアウトとマーケットインの適切なバランスを保ったソリューション開発を意識すべきである。こうしたソリューション開発の好例がシスコシステムズ、アライドテレシス、ヤマハのリーダー企業3社の取り組みである。顧客のニーズを取り入れながら、その先の企業ネットワークの在り方も提案するソリューションであることが重要なポイントである」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内企業向けネットワーク機器市場予測、2017年~2021年:ルーター、イーサネットスイッチ、無線LAN機器」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内の企業向けルーター、企業向けイーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器の2021年までの市場規模を予測している。また、「国内企業向けネットワーク機器市場シェア、2016年:ルーター、イーサネットスイッチ、無線LAN機器」では、2016年の企業向けネットワーク機器市場におけるベンダーシェアとベンダー動向を分析している。