PCは中堅中小企業を中心に回復しビジネス市場では前年同期比6.3%増
2017年第1四半期の国内モバイルデバイス出荷台数は、前年同期比17.3%増の1,410万台となった。これは家庭市場の中心であるスマートフォンや、ビジネス市場中心であるPCがプラス成長になったのに加え、タブレットも家庭市場でプラス成長になったことが大きな要因になる。
スマートフォン市場は、新製品のAndroidベースの携帯電話や、Android端末の通信事業者向け出荷が好調に推移したことによって、前年同期比30.1%の大幅なプラス成長となり、iPhoneも同6.3%のプラスで安定的な成長を維持した。PC市場も全体として6.3%のプラス成長となった。PCは、中堅中小企業を中心とした買い替えサイクルの回復により、ビジネス市場では前年同期比6.3%増と出荷を伸ばした。また、家庭市場向けPCも量販店での在庫調整が一段落したため、前年同期比6.4%増の出荷となった。
一方タブレットは、家庭市場では通信事業者向けモデルが好調だったことから前年同期比9.7%のプラス成長となったが、ビジネス市場では依然として厳しい状況が続いたことから前年同期比15.2のマイナス成長となり、全体では3.0%のプラス成長だった。
2017年通年のビジネス市場は9.7%増の1,136万台と予測
2017年通年の国内モバイルデバイス市場は、前年比10.5%増の5,367万台と予測している。家庭市場向け出荷は前年比10.8%増の4,231万台、ビジネス市場向け出荷は9.7%増の1,136万台を見込んでいる。
スマートフォン市場は、ビジネス市場向けおよび家庭市場向け共に従来型携帯電話からAndroidベースの携帯電話への切替えが進むことや、iPhoneが幅広いラインナップで堅調な成長を維持するとみられるため、プラス成長が予測される。PC市場は、買い替えサイクルの回復などにより、3.7%の微増が見込まれ、家庭市場、ビジネス市場共に回復が期待される。
また、タブレット市場は、家庭市場でのキラーアプリケーション不在の解消による実需回復への方策、およびビジネス市場でのPCとの差別化の困難さという課題への処方箋が見いだせない状況が続くため、出荷が進まない状況が続くと予測している。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの菅原啓氏は「モバイルデバイス市場全体の2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.1%と予測している。ビジネス市場の中心であるPCは、買い替えサイクル等の観点から市場環境が好転しつつあると見込まれる。ただし、家庭市場では大きな市場の変化は期待できないと考えている。スマートフォンは、家庭市場で従来型携帯電話からAndroidベースの携帯電話への切替えが進むことや、ラインナップの拡大により従来型携帯電話からiPhoneに切り替える層が存在するとみられることから、市場自体は2019年頃までは活性化すると予測している。全体としては、2017年の国内モバイルデバイス市場は前年比プラス成長が期待されるが、2020年以降の市場の停滞に備え、各プレイヤーは新たなイノベーションの種をまいておく必要があるだろう」と述べている。
この発表について詳細は、IDCが発行した「国内モバイルデバイス市場 2017年第1四半期の分析と2017年~2021年の予測」に掲載されている。