発表によると、事業者DCでは、43%の管理者がデータセンターやサーバールームの新設予定があると回答したのに対し、企業内DCの管理者のうちデータセンターやサーバールームの新設予定があると回答したのは8%にとどまった。企業内DCではIT資産を事業者DCやクラウド環境へマイグレーションする取組みが加速しており、DCを新設する必要性が低下している。一方、事業者DCではこうしたマイグレーションによって企業のITインフラを設置するファシリティが必要となり、DC新設の必要性が大きい傾向にある。
この調査は2012年から毎年実施しているが、2012年から2017年(今回調査)までの調査結果を見ると、事業者DCの「新設予定あり」の比率は、上昇と下降を繰り返していることがわかる。特に、2016年時点における新設予定の見通し(21%)から、今回(2017年時点)の新設予定見通し(43%)へ大幅な上昇となっている。これは、2013年から続いていた建設価格高騰に一服感が見られるようになり、事業者DCの新設意欲を後押しした結果であるとIDCではみている。
今回の調査では、DCファシリティ投資や運用に関する取り組みについても調査している。IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は「DCはERPのような伝統的な企業/団体の定型業務システムサーバーだけでなく、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)のような新しいタイプのシステムのインフラとして利用されることが増える。DC新設にあたっては、こうした新しいワークロードに適したDCの要件を考慮することが重要となる」と述べている。
今回の発表はIDCが発行したレポート「2017年 国内データセンター管理者調査:運用課題と投資動向」にその詳細が報告されている。レポートでは、データセンターの現状、投資動向、新設計画、運用管理の課題などについて調査/分析している。