プラネットウェイ(Planetway Corporation)はエストニアと日本のハイブリッド企業であり、電子行政先進国とされるエストニア共和国の国民番号制度を支えるデータ連携技術に、独自開発を加えたプラットフォームのコア技術「PlanetCross」を展開するスタートアップ企業。
米サンノゼに本社、日本での支社とエストニアに研究開発拠点を置き、ボードメンバーにはMySQLの共同開発者であるトーニュ氏やNATO関係者、アドバイザリーボードには元ソフトバンク役員の松本徹三氏の他、インターポール関係者も加わる。
事業発表会では、平尾社長のプレゼンテーションに加え、来日したエストニア共和国 IT・企業大臣 Urve Palo氏と日本の大企業の経営者が登壇した。
冒頭、平尾社長はGoogle、Facebook、Amazonなど現在のインターネットのプラットフォーム企業が個人のデータを支配していると述べ、「データを個人の権利に返すべき」と語り、人が中心になりデータを活用する安心・安全のために世界を変えると宣言。
データの利活用基盤の「PlanetEco」とサイバーセキュリティ人材育成事業「PlanetGuardians」の2つの新事業が紹介された。
PlanetEcoは、データ連携基盤である「PlanetCross」と個人認証基盤である「PlanetID」を共通基盤とし、特定のテーマのもと各社・団体と協力して、オープン・イノベーションによる新たなサービス開発を目的としたプログラムを推進するもの。
対象となるコアテーマは、1)ヘルスケア・メディカル領域(サービス)、2)不動産・スマートシティ領域(サービス)、3)金融・フィンテック領域(サービス)、4)自動車・シェアリング領域(サービス)の4つを予定している。
これらの技術・製品はエストニア共和国の電子政府技術として開発されたものに、日本独自の要件を加えられたものだという。
エストニア共和国 IT・企業大臣 Urve Palo氏は、「エストニアの電子情報国家インフラは長年の課題を克服して作り上げられた。こららの経験を日本に活かしてもらうことは非常にうれしい」と語った。
続いて平尾社長が以下の製品の考え方を語った。
インターネットの安全性は、「Confidentiality、Availability、Integrity」の3つからなる。ブロックチェーンはIntegrityを保証するもの。Confidentialityを「PlANET ID」、Availabilityは「Planet Cross」によって保証し、この3つでセキュリティを確保していく。
PlanetCrossは、エストニアの情報連携基盤を、民間企業向けにカスタマイズし提供するセキュアな情報連携基盤。各企業の既存システムやデータベースに大きな変更を加えることなく他企業とのデータ連携を実現でき、既存システムやデータベースを活かしながら段階的に適用領域を広げていくことが可能。
「データを出す企業の側がに自社のデータを他社に提供するデータの内容と公開範囲を自由に決めることができる」(平尾社長)
PlanetIDは、居住者/非居住者にかかわらず個々のエンドユーザーやIoT機器等に付与されるユニバーサルなID。多要素認証や秘密キーの分割暗号化によりセキュリティが担保され、なりすましを極限まで回避することが可能。スマートフォン等で使用されるアプリケーションに簡単に実装でき、個人による許諾/データ公開のコントロールとアクセス履歴の参照を実現する。
エストニアで実証されたこれら2つの基盤技術により、以下の3点を可能とする。
1.個人が自分の「どの」データを「だれ」に開示するかを簡単に許諾可能に
2.電子認証/署名(CA)、タイムスタンプ(TSA)により本人確認とデータの完全性を確保
3.スマートコントラクトにより、契約履行の大幅な効率化を実現
もう一方の新事業であるセキュリティ人材育成の「PlanetGuardians」については、Planetwayの役職員として在籍する世界の情報/諜報機関に対するアドバイザーにより、ホワイトハッカーやセキュリティ人材の育成プログラムを提供し、認定制度もおこなうという。
また、パートナー企業として、東京海上日動火災(稲葉茂 常務取締役)、三井不動産(北原義一 代表取締役)、アクセンチュア(江川昌史 代表取締役社長)、凸版印刷(麿秀晴 専務取締役)、大日本印刷(蟇田栄 専務執行役員)、三菱UFJ銀行(林尚見 常務執行役員)、三井住友銀行(谷崎勝教 取締役兼専務執行役員)、みずほ銀行(大櫃直人 執行役員)、日本ユニシス(小西宏和 常務執行役員)が登壇し、賛同の意を表明。
各氏とも「平尾社長に初めて会った時は少し怪しさを感じたが、話をするうちに平尾社長の情熱にひき込まれ共感した」と共通して語り、平尾社長の熱意を讃えた。