これまで2回の記事で、日本企業の4社に3社は社内に蓄積した個人情報を十分に活用できていない一方、4社に1社は過去1年間に不正侵入を許しており機密情報が危機に瀕しているという現状をご紹介しました。今回は、日本のITマネージャーが他国に比べて個人情報保護に強い不安を抱いている様子をご紹介します。
機密データ保護とコンプライアンスに関する不安が世界ワースト1
情報セキュリティ意識調査(DSCI)は12の国・地域を対象として実施しました。グラフ1は、自社が保有するすべての機密データが安全だと考えている、と回答した企業の国別の比較です。GDPRが導入されたヨーロッパ諸国と、GDPRに近いとされている法制下にあるオーストラリアでは安全と考えている企業の比率が50%前後と相対的に低く、アメリカや新興国では70%前後と相対的に高くなっています。
その中で、安全と考えている企業の比率が日本は43%で、12か国中最下位となりました。改正個人情報保護法の適用であらためて自社内の調査をおこない、様々な問題を認識した影響があるのかもしれません。

実際に、続けてグラフ2をご覧ください。こちらは、データ保護法制を遵守するのは困難だと回答した企業の比率です。この設問でも日本が他国を抑えてワースト1となりました。76%ですから、法制遵守が困難、コンプライアンスに自信がない、と4社に3社が考えていることになります。

DSCI調査で、このほかに「データ保護法制を遵守するための社内体制確立ができている」(各国平均60%、日本42%)、「データ暗号化用の暗号鍵管理ができていない」(各国平均42%、日本68%)といった項目で、日本は最下位という結果でした。
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河原田 誠司(カワラダ セイジ)
ジェムアルト株式会社 アイデンティティ&データ プロテクション事業本部 リージョナル&チャネルマーケティングマネージャー
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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