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2019年の国内企業IT支出を前年比1.6%増の26.9兆円と予測――ガートナーがIT投資動向を発表

2018/11/08 16:45

 ガートナー ジャパンは、2019年に向けた国内企業のIT投資動向を発表した。このアンケート調査は、ガートナーが2018年4~6月に従業員数20人以上の日本企業を対象に実施したもの。回答者はユーザー企業のITリーダーになる(有効回答企業数715社)。

2018年の国内IT支出規模は26.5兆円で前年比2.4%の増加

 2018年の国内IT支出規模は26.5兆円となり、2017年から2.4%増加すると見込まれる。一方、2019年は2018年から1.6%増の26.9兆円に達するとみられ、2021年まで年平均成長率1.0%で推移すると予測している(図1)。

図1:日本におけるIT支出規模予測、2018年第3四半期(出典:ガートナー、2018年10月)

 ガートナー リサーチ&アドバイザリ部門 アソシエイト・プリンシパル, アナリストの成澤理香氏は、次のように述べている。

―― 日本経済は引き続き緩やかな成長を維持していることから、2018年のIT投資も増加傾向が続くとみています。企業では、収益改善を背景に、老朽化したシステムの更改が進んでいます。加えて、2019年10月に予定されている消費税増税/軽減税率などへの対応や、2020年1月のWindows 7およびWindows Server 2008のサポート終了に向けた準備も、IT投資の増加要因になっていると考えられます。

―― 一方、2017~2018年にかけての強いプラス傾向からの反動と、2018年に相次いで発生した自然災害の影響もあり、2019年の市場成長率はやや鈍化する見通しです。産業別に見ると、Fintechの進展を受けて大規模な構造改革に迫られる「金融」や、医師・看護師不足と深刻化する医療費増大に対し、国を挙げて保健医療・介護システムの最適化を目指す「医療」での増加傾向が高く、2017~2021年までの年平均成長率はそれぞれ1.9%、1.8%で推移する見通しです。

IT投資の外部環境要因に「新規テクノロジの出現」を挙げる企業がこの1年で増加

 一方、ガートナーが2018年5月に日本のユーザー企業を対象に実施した調査では、昨今の企業における人手不足および構成変化が、今後3年間のIT投資に、外部環境要因として強い影響を与えていることが明らかになっている(図2)。

 「人材環境の変化」は、直近3年だけを見ても選択率が1.6倍以上に増えており、企業の経営課題として急速に浮上している。一方で、これまで最上位に挙げられていた「景気動向」は2位に後退し、選択率もこれまでに比べ減少傾向にある。これは、IT投資枠が従来のように業績に連動するのではなく、景気状況にかかわらず、優先課題すなわち「人材環境の変化」に企業が対応せざるを得なくなっている現状を示している。

 さらに、「新規テクノロジの出現」を挙げる企業がこの1年で増加しており、デジタル・テクノロジを本格的に自社のビジネスと結び付けようという動きが見られる。特に、従業員数2,000人以上の大企業における選択率は5割を超え、2位の「人材環境の変化」以下を大きく引き離して最上位に挙げられた。

図2:今後3年間のIT予算に影響を与える外部環境要因、上位3つまで選択
(出典:ガートナー、ITデマンド・リサーチ、2018年5月調査)

テクノロジの導入状況では「AI/機械学習」が利用予定の比率が最も高い項目に

 デジタル・ビジネス関連テクノロジの導入状況を尋ねたところ、クラウド・サービスやモバイル・テクノロジについては試験的な採用も含めて、既に「利用中」という回答がそれぞれ65%、53%を占めており、採用が本格化しているといえる(図3)。

 特にクラウド・サービスは、「1年以内に利用予定」としている比率も高めであり、デジタル化が加速する中、システム設計の段階でクラウド・ファーストの考え方が支持されるようになりつつあると考えられる。

 一方、新興テクノロジとして昨今注目を集める「人工知能(AI)/機械学習」や「スマート・マシン」「VR(仮想現実)/AR(拡張現実)」「ロケーション・インテリジェンス」「ブロックチェーン」の利用率は1割以下と、総じて低い傾向にある。IT投資に影響を与える外部環境要因としては、「新規テクノロジの出現」の比率が高まっているものの、現状を見る限り、実際の投資には結び付いていない。

 しかしながら「AI/機械学習」については、現状の利用比率が9%にすぎないものの、1年以内に利用予定という回答は11%を占めており、利用予定の比率が最も高い項目となった。

 特に従業員数2,000人以上の大企業における関心は高く、「利用中」「試験的に利用中」の合計比率は35%に上っており、「1年以内に利用予定」も25%が選択している。すなわち、1年後には大企業の60%が「AI/機械学習」について何らかの取り組みを実施していることになる。

図3:デジタル・ビジネス関連テクノロジの導入状況(出典:ガートナー、ITデマンド・リサーチ、2018年5月調査)

 今回の結果に関して、成澤氏は次のように述べている。

―― 人手不足が日本企業の優先課題となる中、生産性向上の次なる一手として「AI/機械学習」に注目が集まっています。特に、その煩雑さのため効率化や自動化がこれまで進んでいなかったホワイトカラーの業務を支援するテクノロジとして、幅広い分野で関心が寄せられています。

―― しかし一方で、ガートナーが常々警鐘を鳴らしているように、こうした急速なニーズの高まりは市場が「過度な期待」のピーク期にあることの証ともいえます。企業は、自社の活用イメージとテクノロジの現実的な成熟度とのギャップや、導入側の体制(スキルや運用体制、事業化プロセスなど)の準備状況などを見極めた上で、より慎重に投資を行うべきでしょう。

 なお、ガートナーは11月12~14日に、「Gartner Symposium/ITxpo 2018」をグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールにて開催する。先見性に富むスピーカー、ビジネスの第一線で活躍している多くのCIOおよび企業のリーダー、業界の専門家、テクノロジ・プロバイダーが一堂に会するこのシンポジウムでは、未来のITやビジネス戦略へのヒントとなるビジネス課題の解決と、業務の効率化を目的としたIT活用法についての知見を幅広い側面から得られるという。

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著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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