SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

リーガルテック入門

アメリカ全判例のデータベースが新たに登場

 昨年、アメリカの全判例650万件、200テラバイトのデータが一挙に公開されました。誰もが自由に利用できるアメリカ法のデータベースを目指すこの“ケースロー・アクセス・プロジェクト”がどんなものなのか、リーガル・リサーチャーの青木モリヤが報告します。

プロジェクト始動の経緯

 昨年10月29日、Caselaw Access Project https://case.law(CAP)は、アメリカ植民地時代にはじまる360年間650万件の判例を、テキスト・データ化して公開した。このプロジェクトは、ハーバード・ロースクールの図書館(the Harvad Library innovation Laboratory)と、スタンフォード・ロースクールのプロジェクトからスピンアウトしたRavel Lawが共同して、ハーバードの蔵書4万冊の背を切り落とした4,000万ページを、高速スキャナで1日10万ページ2年間をかけて読み込み、データ処理を施して現段階に至ったものだ。

 アメリカで最初に設立された大学でもあるハーバードは、米国議会図書館を除けばもっとも充実した判例集を所蔵している。そもそも紙媒体化されなかった初期の判例等を欠いているとはいえ、CAPはアメリカの判例をほぼ完璧にデジタル化したことになる。

 ※画像は全てCaselaw Access Project  https://case.law/
 ※画像は全てCaselaw Access Project  https://case.law/

 判決文は、誰もが理解しなければならない判例「法」が記載された公文書だ。にもかかわらず、そのアクセスには費用がかかったり(連邦裁判所の記録であれば、1ページ10セントのpaywall)、自由とはいえない状況にあった。これをなんとか変えようというムーブメントが、2008年までには明確になってゆく。

https://archive.org/stream/GuerillaOpenAccessManifesto/Goamjuly2008_djvu.txt

 このような中で、開かれた法情報環境を実現する具体的な方法を模索していたハーバードと、これに賛同したRavel Lawの対話から生まれたのが、今回のCAPの企画だ。

 スタンフォードの学生だったダニエル・ルイス(Daniel Lewis)がロー・スクールで初めてリーガル・リサーチをする段になって驚いたのは、子供のころ見ていた両親の仕事(ルイスの父母は弁護士)とあまりに状況が変わっていない、ということだった。データベースで関係判例を大量に集めたら、それをマーカーと付箋で読み進めてゆくアナログな分析手法。そこにブレイクスルーを見いだそうと、ルイスは模索を始める。

 ハーバードのサイバー・ローの教授ジョナサン・ジットレイン(Jonathan Zittrain 客員としてスタンフォードでも授業を持っていた)ら教授陣もまじえた対話の中で、誰も見たことのないような、判りやすくて説得力のある法情報の”見える化”が実現されていった。資金調達も順調に進んだ2012年、「法はアメリカのオペレイション・システムであり、我々はそれをアップデイトする」をモットーとするRavel Law を設立する。
 
 そして、2015年に今回のCAPにつながる、ジットレインらハーバードとルイスらのRavel Law共同のプロジェクトが始動する。作業進行中の2017年、Ravel LawはLexisNexisに買収され、、法情報の“見える化”は「Ravel View」として既存プラットフォームに組み込まれたものの、これとは別に、ハーバードとの契約内容は引き継がれ、共同プロジェクトCAPは公開の日を迎えるに至る。
 
 このCAPの情報には、専門的な知識がなくてもアクセスできる。まずは実際に見てみよう。

次のページ
CAPの利用方法1.登録せずにできること

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
リーガルテック入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

青木モリヤ(アオキモリヤ)

リーガルリサーチャhttp://www.itlaw.tokyo/ 一般企業勤務後、法律事務所でリーガル・リサーチを担当。 法律の解釈とともにメタデータ管理に関心を持ち、各方面で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/11771 2019/03/06 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング