大路成夫(おおじ・なりお) 入社5年目の新米チームリーダーにして、 この連載の主人公。 テスト周辺の知識がちょっと怪しい。 |
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江尾伝子(えび・でんこ) 成夫くんの後輩。 若手ながらなかなかの切れ者で、 テストについても成夫くんより詳しい。 |
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先生(せんせい) この連載のガイド役。 ソフトウェアテストに長年携わってきた経験を活かし、 成夫くんに助言を与える。 |
舞台の紹介
大路成夫(おおじ・なりお)君たちのプロジェクトは、もうしばらくすると統合テストに入ろうという時期です。第1回ではコンポーネントテストの勉強をしなおした成夫君。今は統合テストの計画とテスト設計を受け持っています。
テストに関する用語はISTQBの用語集(日本語訳)に準拠しています。組織・企業によってはコンポーネントテストは「単体テスト」「ユニットテスト」、また統合テストは「結合テスト」などと呼ばれることがあります。
成夫君は、さっきからずっとPCに向かって何やら思案の様子。そこへ江尾伝子(えび・でんこ)さんが背後から忍び寄ってきて――
テスト設計、そんなのでいいの?
センパイ! 何考え込んでるんですか!
うわあ! びっくりした!
そんなに驚かなくてもいいじゃないですか。
驚くよ! 考え事してるところに後ろから声かけられたら。
で、何を考え込んでるんですか?
うん…、統合テストの設計をやれと言われたわけだけど、
考えてるといろんなテストケースが必要だなあなんて思い始めて。
はかどらないんですか?
(成夫が見せたテスト設計のシートを覗き込む)
書いてるじゃないですか。一応。
(一応、ですか)
まあね…だけどこんなのでいいのかなあって思って。
どれどれ……。
…ふむふむ。確かにこんなのでいいのかなあって思うのが混じってますね。
(ホント、いちいちグサッと来ることを言うよなあ)
いや、これはまだ設計段階だからね。
アイデアを書き出してるだけで、これをテストで本当に流す気はないわけで。
でもまあ、よくないと思うところがあれば言ってみてよ。
ひょっとしたら、いい意見かも知れないし。
明後日の方を向いたまま話さないでください。台詞も棒読みですよ。
えー、それではセンエツながら指摘させていただきます。
(絶対僭越だなんて思ってないよな)
『データアクセスモジュールが有効な検索キーに対して有効なレコードを返すこと』
これ、センパイたちがコンポーネントテストでやったことじゃありませんか?
そうだけど、Aチームと結合した時にも
確認しておかないといけないだろうと思ったわけで。
(成夫の答をスルーして)それから、Bチームのレイヤーのスタブを使って
Aチームのレイヤーのテストを先に行うように考えられてるみたいですけど、
これもどうかなあって感じですね。
ああ、もうどうすればいいのか分からないよ!
センパイ、ウチは恵まれてる方なんですよ?
統合テストもいくらか考えやすくてやりやすい筈なんです。
…どういうこと?
それは最後の方で改めて取り上げるとして、
今回は『テストレベルの意義を振り返って見る』と題してお送りしますよ!