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「統合化したソリューションでサイバープロテクションのリーダーへ」変革を推進するアクロニスの展望

 イメージバックアップから、サイバープロテクションのソリューション・ベンダーに変革しているアクロニス。この変革を順調に推進しており、2019年9月にはゴールドマン・サックスが主導する投資ラウンドで1億4,700万ドル(約159億円)の資金を調達。同社の評価額は10億ドル(1,060億円)を超え、投資家からの期待も高い。

統合化されたサイバーセキュリティ・ソリューションを提供

 世界はデジタル化している。日本だけでも何十億ものデバイスがあり「今後は1人あたり20個くらいのデバイスを使うようになるでしょう」と言うのは、アクロニスの創業者でCEOのセルゲイ・ペロウソフ氏だ。デジタルの世界は煩雑で複雑化している。そういった中で多くのデバイスを守り、それらを束ねるエッジコンピューティングや膨大なデータを処理するクラウドなどのコアコンピューティングも守らなければならない。

 このとき、手動でこれらを守ろうとしてもなかなか上手くいかない。「セキュリティは自動化された保護により守らなければなりません」とペロウソフ氏は言う。アクロニスではデータ保護を長く続けて来た。次に取り組んだのが、プライバシーの保護だ。また誰がどのデータにアクセスできるかの制御も行う。さらにデータが改変されていないことを担保する技術も提供している。

アクロニス 創業者兼CEO セルゲイ・ベロウソフ氏
アクロニス 創業者兼CEO セルゲイ・ベロウソフ氏

 アクロニスではデータ保護の技術で実現する「Safety(安全性)」、いつでもデータにアクセスできるようにする「Accessibility」、データの信頼性を高める「Privacy」、データが改竄されていないことを証明する「Authenticity(真正性)」、そして脅威に対する保護の「Security」の5つのキーワードで自社のソリューションを表しており、その頭文字をとり「SAPAS」と呼ぶ。

 「SAPASを1つのソリューションで保護できるようにしているのが、アクロニスです」とペロウソフ氏。統合することで、ばらばらな技術を導入して対処するよりもTCOは低くなる。これはメインフレームの考え方にも通じる。メインフレームは、集中させて一元化したところで信頼性を担保していた。現状のITの世界はネットワークでつながることで、物理的には分散していても全体は1つのシステムとして捉えられる。それを1つの統合化されたアクロニスのソリューションで守り、信頼性を確保するわけだ。

 「重要なのは統合することです。アクロニスではSAPASに統合的に対処します。信頼性を確保するにはパッケージ、ビジネス、UI、管理、製品、技術が統合されていなければなりません。これはiPhoneに全ての機能が統合されているのと同じです。全てが統合されることで、完成されるのです。これにより大きなメリットが生まれます」(ペロウソフ氏)

 アクロニスでは、統合化したサイバーセキュリティのプラットフォームを新たに提供し、リアクティブな対応だけでなくプロアクティブな保護も実現する。そのためにAI技術を活用し、未知の脅威にも対応できる。たとえばユーザーの行動を機械学習技術を用い監視し、何か怪しい行動が検知されればそれを通知してユーザーの行動を制限することもできるのだ。

 SAPASで対処するための機能が統合化された「Acronis Cyber Infrastructure」は、Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud、Microsoft Azureの環境にも対応し、エッジ側にもデプロイして利用できる。またサービスプロバイダーのデータセンターでも利用できる。もちろんアクロニスのデータセンターでも利用でき、ペタバイト級のデータを保護できる。

 またAcronis Cyber Platformを使うことで、サービスプロバイダーが独自のサイバープロテクションのソリューションを提供できる。パートナーがアクロニスのソリューションをカスタマイズし、自社サービスとして独自のサービスを提供することも可能だ。このときパートナーは、マルチテント型でサービスを提供できるので、コスト効率もリソース効率も向上させられる。

 もう1つアクロニスが力を入れているのが、スポーツ領域に対する保護だ。「今や、スポーツがデジタル化されています。それを保護する仕組みをアクロニスでは提供します。アクロニスはスポーツ領域でのデジタル保護に注力する唯一の企業です」とペロウソフ氏。

 Acronis Cyber Infrastructureを使いさまざまなスポーツに関わるデータを管理する。スポーツそのものの中でもデジタル化が進み、多くのデータが利用されている。さらにファンサービスや興行をスムースに実施するためにもデジタル化がなされデータ活用は進んでいる。そこではデータの保護が当然必要だ。データを保護する面からさまざまなスポーツに関わる企業をサポートし、それにより新たなビジネスの収益も期待している。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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