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「ファイナンス思考」と「未来志向型経理」が経営の武器となる【朝倉祐介氏×ブラックライン古濱社長】

 目先の売上や利益の最大化を目的とする「PL脳」のままでは、長期的に企業価値を向上させることはできない。将来の見通しが困難な事業環境だからこそ、「ファイナンス思考」が経営の武器となる。――『ファイナンス思考』(ダイヤモンド社)の著者で、現在はスタートアップへの投資に携わる朝倉祐介氏はこう主張する。同氏はリモート決算を実現するソリューションを提供するブラックラインの年次イベント「BeyondTheBlack Tokyo 2020」での講演の後、主催者の古濱淑子氏と語り合った。

<p>シニフィアン株式会社 共同代表 朝倉祐介氏<br />  ブラックライン株式会社 代表取締役社長 古濱淑子氏</p>

シニフィアン株式会社 共同代表 朝倉祐介氏
ブラックライン株式会社 代表取締役社長 古濱淑子氏

2020年3月期決算を迎えた企業のうち、業績予想を開示できたのは46%にとどまる現実(2019年度は96%)

古濱:まず、コロナ禍のビジネス環境へのインパクトをどう捉えているかから教えていただけますか。

朝倉:業種によっても、規模によっても明暗が分かれています。例えば、飲食や旅行のように、リアルに紐づくローカルなサービス業が苦労している一方で、ECやDXに関連する企業が成長しているのはご承知の通りです。

古濱:リモートワークができる業種とできない業種があったり、できる前提の業種でもスムースにリモートワークができたところとできていないところがあったりしたように思います。

朝倉:エンジニアの仕事のようなオフィスワークは向いていると思いますが、どんな業務でもリモートワークに移行できるわけではありません。リモートワークを否定するのでもなく、また反対に対面業務を全否定してオフィスを全部解約するのでもなく、メリハリを付けて落とし所の試行錯誤を続ける会社が、中期的に自社に適したスタイルを確立していくのではないかと観察しています。

古濱:確かに、紙や印鑑のようにコロナ以前からの問題もあります。今回の私たちのイベントでは「リモート決算から始める業務改革」をテーマに、決算業務のやり方を変えていこうと呼びかけました。決算を締めるという過去の出来事に焦点を当てた業務から、未来についての説明に時間を割けるようになってほしいと考えたからです。朝倉さんは著書の中で「ファイナンス思考」を提唱されていますが、決算業務を報告までと捉えた時、どんな変化が起こるとお考えですか。

朝倉:決算業務では、手作業の平準化を始め、効率化できるところはたくさんあると思います。一方で、過去の内容を整理した上で数字を基に未来を言語化し、投資家だけでなく、取引先や従業員を含むあらゆるステークホルダーへの説明は、クリエイティビティが求められる業務です。足下では、コロナウイルスの影響を織り込んで、仮定を置きながら業績予想を試みる企業と非開示にする企業の差が出ています。単に過去の結果を示すだけでなく、未来の展望を説明することは、本来であればもっと時間を使うべき業務だと思いますが、そのためのリソースは業務の効率化で捻出する必要があります。より精度の高い練りに練った説明で、ステークホルダーからの理解を得ることは、株価だけでなく業績にもポジティブに働くと思います。

古濱:その観点で言えば、2020年3月期に決算を迎えた企業のうち、業績予想を開示できたのは46%に過ぎません。昨年は96%の企業が開示できたにもかかわらずです。予想を出せた企業と、コロナで難しいから出せなかった企業の違いには、時間の使い方が関係するように思います。

朝倉:完全を期した数字を出すことよりも、重要なのは予測数字とその前提条件をどれだけ言語化できるかです。投資家としては、明確なガイダンスを出してほしい。それが上振れするか、下振れするかはさておき、大きなズレがある企業は自分たちの事業成長を見定めることができていないのではないかと懸念を抱きかねません。仮に正確な数字が出せなくても、その手前の事業成長を説明するKPIを示せるかどうかでも印象が変わります。自分たちにとって正しいKPIは何か。これは深遠なテーマです。

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ファイナンス思考の4つの機能

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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