SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine Press

東京建物のAI顔認証システム導入は、未来のビル管理の参照モデル


 東京建物では本社ビルの移転にともない顔認証システムを導入した。日本コンピュータビジョン(JCV)が提供するAI型顔認証システムを用い、入館時の社員の高速・高精度な認証を実現している。オフィスのDX推進の最前線の様子として、同社の導入プロジェクトのリーダーに話を訊いた。

移転プロジェクトを機に顔認証を導入

 「もともとコロナ禍の前から導入を始めたのですが、今から思えばタイミングが良かった」。そう話すのは、東京建物 総務コンプライアンス部の佐竹崇仁氏だ。同社では、2019年の秋に本社移転のプロジェクトにあわせAIによる「顔認証システム」を導入した。AI型の顔認証ソリューションを入館ゲートや各部屋の入口に設置することで、その後の新型コロナウイルスの感染拡大対策にも素早く対応できたという。

<p>東京建物株式会社 総務コンプライアンス部 総務グループ グループリーダー 佐竹崇仁 氏</p>

東京建物株式会社 総務コンプライアンス部 総務グループ グループリーダー 佐竹崇仁 氏

 東京建物が導入した顔認証システムは、ソフトバンクの子会社の日本コンピュータビジョン(JCV)が提供する「SensePass」だ。JCVは顔の検知・認証処理を行う顔認証デバイス(一体型専用端末とアプリケーション型)とデータベースの管理・認証処理を行う管理プラットフォームで構成されるソリューションを提供している。

 このソリューションは、顔写真を1枚登録するだけで高速・高精度な1対N認証と生体検知をおこなうもの。JCVのAI顔認証は、認証速度が0.3秒以内(距離 2.0m以内)、認証精度は99%以上というもので、世界トップレベルを誇る。

 東京建物の移転計画は、東京駅近辺の八重洲・日本橋・京橋エリア再開発にともなうものだ。2020年の5月に移転は完了した。移転にともない、社内のセキュリティシステムを一新し、以前のIDカードによる入室をすべて顔認証に変えた。

 顔認証に変えるにあたって、国内のメーカーをはじめ数社のシステムを比較検討していたが、JCVの担当営業の岡田泰幸氏が訪問し提案をしたところ、即決となった。決め手になったのは、同社製品の「生体認証」の精度だ。

 通常、顔認識だと認証するポイントが少なく、たとえば、平面的な印刷物や写真をかざしても認識してしまうために、なりすましが可能だ。「実験的に社員の写真をかざして試したところ、多くの製品ではドアが開いてしまいました。マスクをしていると認識しない製品も多かった」。こう語るのは、同じく導入プロジェクトに加わったビル事業企画部の佐世貴志氏だ。

<p>東京建物株式会社 ビル事業本部 事業企画グループ 課長代理 佐世貴志氏</p>

東京建物株式会社 ビル事業本部 事業企画グループ 課長代理 佐世貴志氏

ストレスのないオフィス環境をめざして

 本社移転の前から、東京建物は全社的に働き方改革に取り組み、オフィスでもフリーアドレスを採用していた。社内の共用スペースや会議室、役員室への移動には社員用IDカードで入室することが社員にとっては煩雑だった。IDカードは、一見安全なようでいて、紛失や盗難のリスクがある。またカードの貸し借りによるなりすましも生じる。社員が持参を忘れた時には、入室ができない。社員へのカードの発行や管理をおこなうスタッフの業務も重い。

 ビルディング事業を営む同社だけに、ストレスフリーな仕事空間を実現することは、重要テーマだ。そのため、「高速で認証できること、機器の前で立ち止まったり、回り込んだりしなくても、ハンズフリーで通り抜けるだけで認証する」という特長は重要だった。

<p>マスクをしていても、そのまま通り抜けることで認証し入室できる</p>

マスクをしていても、そのまま通り抜けることで認証し入室できる

 当初懸念された社員からの心配の声はまったく無く、導入は歓迎された。その理由は社員に改めて顔写真登録を強制する必要がなかったことも大きい。

「通常だと、社員の顔写真の登録をあらためて複数の角度からおこなわなければなりません。今回のシステムでは、すでに社員証などで提出されていた写真が1枚あれば認証できる。そのことで社員に余計な警戒を与えずにすみました」と佐竹氏は語る。

 JCVの製品では、データベースに正面からの写真を1枚登録しておけば、顔情報の学習は不要だ。JCVのAIは、顔の数十万点のポイントから三次元で特徴量を抽出するため、たとえば10年以上前の写真であったり、撮影時からの体重や加齢の変化があっても問題なく認識されるからだ。東京建物の600数十名を超える社員の登録は、即座に完了し、まったくエラーが生じなかったという。また役員室などを訪問するVIPの登録も簡便に済ますことができた。

次のページ
体温検知とあわせ社員の安心感も生まれる

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

翔泳社 メディア事業部。同志社大学卒業後、人材採用PR会社に就職後1994年から翔泳社に参加。以後、翔泳社の各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、嘱託社員の立場でEnterpriseZineをメインに取材・編集・書籍などのコンテンツ制作に携わる。 趣味:アコギ、映画鑑賞。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/13459 2020/10/09 12:55

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング