技術者じゃなくても簡単に活用できるツールに進化
Elasticsearchの事例として、もう1つよく紹介されるのがUberだ。Uberではドライバーの位置情報や利用者の現在地と行き先情報など、さまざまなデータを素早く検索し、ドライバーと利用者のマッチングを行っている。この仕組みの検索エンジンにElasticsearchが利用されているのだ。
Uberのように、さまざまなサービスの裏側でElasticsearchが活用されている例は多い。日本でもZOZOTOWNの検索エンジンとしてElasticsearchとリレーショナルデータベースが併用して使われている。このように何らかの仕組みに組み込まれた形での利用が多いのは、Elasticsearchがエンジニアにまずは評価され利用されてきた経緯があるからだろう。

「Elasticsearchは、エンジニアにかなりのカスタマイズ技術があれば、使ってもらいやすい製品です。しかし企業のCXOの立場にある人には、なかなかその良さが届かない。今は、そういった人たちにしっかり説明することに力を入れています」と鈴木氏。開発者が便利に使うツールで、使い方はエンジニアが自分たちで探し出すイメージは強い。一方、導入によるビジネス上のメリットを気にするCXOの人たちに対し、価値を伝えるにはデータベースとの違いから説明しなければならないことが多いのが現状だ。
Elastic自身は、この部分に課題があることは十分に理解している。そのため最近は、より幅広い層に受け入れてもらうために「新製品では、パッケージ化の要素が強くなっています」と鈴木氏。さらに使いやすいインターフェイスのKibanaも用意しており「これはMicrosoftのPower BI的に進化しています」とも言う。このように技術者でなくてもElasticsearchを使いこなせるようにする、使い勝手の改良部分の強化が昨今はかなり図られているのだ。
ところでデータウェアハウスを構築しデータ活用環境を構築するのは、未だに大規模なプロジェクトとなることが多い。設計段階からコンサルタントなども入り、構築し利用できるようになるまでに大きな時間とコストもかかるのが普通だろう。
一方Elasticsearchは「もっとカジュアルにデータ分析ができるようにするものです」と鈴木氏。たとえばAzure上でElasticsearchの機能を利用できる「Elastic on Azure」を使うならば「Azure上で認証情報を設定し、検索対象のエンドポイントのURLと認証キーさえ取得できればすぐにデータ検索ができるようになります」と鈴木氏。Elasticsearchの利用自体は、かなり容易なものとなっているのだ。