今回のセッションはデータがテーマですので、飛行機のエンジンをスライドの表紙にしてみました。データというのはエンジンではないかと思います。その推進力が機体を動かし、浮上させるように、ビジネスに力を与えます。私たちはそれを活かしてチャレンジをしている最中です。
ANAのこれまでのテクノロジーとデータの使い方
データについては、ANAの場合、予約、発券、チェックインなどを例にとるとわかりやすいと思います。まず、予約の仕組み、チェックインの仕組みという基幹業務の仕組みが出来上がります。
部門の戦略やニーズはこの仕組みがベースになり、より効率的でコストも意識して、スタッフのために作った仕組みをチャネル展開していきます。インターネット予約、自動チェックイン機など、仕組みをチャネル展開するとスタッフ業務が転換され、コスト効果が生まれるという伝統的なモデルになります。データはこの基幹系の仕組みの中で生まれてきます。ある便ではこういう人の予約が多い、こんな傾向があるなどと抽出することで、PDCAを回しながら、仕組みを変える、そして、対策することができる。いろいろな仕組みを作った後で、PDCAで回して成長させることで業務側も経営側も安心感がある。実は、このようなプロセスにはいくつかの問題点があるというところからスタートしたいと思います。
これまでのデータの使い方の問題点
まずデータの使い方に問題があると思います。
1つ目はメインフレームの仕組みからデータを抜いて、そこをベースにPDCAが回ります。原資となるデータは全てホストコンピュータからの発信で、さまざまな現場から生まれてくる情報、データは吸い上げられることなく、PDCAサイクルにいかない現象です。
2つ目は、部門の戦略にのらないデータは捨てられます。90年後半、マイレージが導入されました。マイレージのお客様に関するデータ分析は実施されますがマイレージ以外のお客様の分析は「捨てられる」は言い過ぎですがあまり使われませんでした。
3つ目は、データの流動性の問題です。仕組みには部門のオーナーがあり、そのオーナーがそれに紐づくデータのオーナーとなりがちです。例えば、オペレーションデータは整備部門でもマーケティング部門でも使いたいですが、システムに紐づいてデータが管理されているので、部門間で横断的なデータの活用は難しいのです。
4つ目は、PDCAのもとでしかデータが使えないことです。分析をしてその結果としてアクションを起こす形となり、お客様が予約をした、チェックインをしたというタイミングでデータを活用することができません。分析の結果をもってお客様にアプローチするというような限定された使い方になっていました。
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